第45話 悪魔

同僚に人格者と評判の者がいる。

仕事はさほど出来る方ではないが、理不尽な上司からどんなに怒鳴られようが感情を乱さない。


「なあお前にはストレスとかないの?」

酒の席で尋ねてみると


「うまいこと発散しているからね」

としか応えない。

その発散方法を教えろと、さらに酔わせると


「誰にも言うなよ?」

と俺を自宅に招いてくれた。


「おいおい、なんだよコレ?」


檻の中の小動物は、まるで物語に出てくる悪魔にしか見えなかった。

同僚が慣れた手つきで金串をザクザク突き刺すと、ソイツはキイキイと悲鳴をあげる。


「これが俺のストレス解消。コイツを火で炙ったり水責めにするとスッキリするんだ」


「大丈夫なのか?あとで悪魔の仲間に仕返しされたりとか」


「ああ平気平気。だってコイツ人間だもの。俺の前の上司」


その人ならたしか2年前に失踪したと聞いているが……。



「拉致って虐めているうちにどんどん小さくなってさ。まあ飼うのが楽になっていいんだけどね」

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