第38話 ハロウィンナイト
人間、慣れないことをするものではない。
近頃のハロウィンとはどれ程のものかと、久しぶりに外に出てみた。
ところが街は予想を超えた混み様で、僕はたちまち人波に飲み込まれてしまったのだ。
しかたなくそのまま群衆と大通りを練り歩いていく。
「皆、ずいぶんとリアルな仮装だなぁ」などと最初は暢気に思ったりしていた。
でもそれは間違いだった。
よくよく周囲を見回せば刺殺、絞殺、銃殺、毒殺と皆が皆、非業の死を遂げた本物の死者たちである。
どうやら僕は、惨殺された死者たちのパレードに飛び込み参加してしまったようなのだ。
僕は悲鳴をあげながら、冷んやりした人波を必死にかき分けて帰宅する羽目になった。
「もう金輪際外出はしないから!」
僕が宣言するとお袋の小言がますます増えた。
「近頃のおまえはまるで死人みたいだ」
でも今後は外出することもないから、あれ以来心臓が動かないことも、いよいよ肉体が腐り始めたことも、たいした問題ではない。
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