4回目の
どおおおおおおん! どおおおおおおおおん!
「っ!」
「おや」
チナミのフリルの合間から鳴った、いつも通りの爆発音。デスクについていたスクナの身体が一瞬揺れるが、前回のように跳ねることもなく。成長したなと、どこか子どもを見守る母親のような優しいまなざしがチナミからスクナへと向いた。ぷるぷる震えているスクナに笑い掛けつつ、チナミは応答した。
「もしもし、こちらチナミ・テルヌマだが」
「こちら中央管理室です。武道場にて遊子が暴れているとの情報があり、至急チナミ班の出動を要請します」
「あい、わかった」
「それでは現場に向かってください」
ぷつっと早々に通話が切られると、チナミはデスクの上にある卓上時計を見て、ため息をついた。現在11時35分。午前中だけでは終わらなそうであることを予想して。残業の覚悟をした。
「チナミ班長、ローブです」
「ああ、ありがとう」
さすがに4回目になる特別業務で慣れたのか、外套掛けからチナミと自分の分のローブを持ってスクナが近寄ってきた。
礼を言ってそれを受け取ると、自分もローブを羽織りながら、スクナはチナミに笑いかけた。
筋肉痛でぎこちない身体を椅子から持ち上げて、ローブをまわし広げる。黒地に銀糸で緻密な刺繍のされたローブが空気をはらんでばさりと膨らむ。それで肩から膝までをすっぽりと覆うと、チナミは待っていたスクナに声をかけた。
「じゃあ、行こうか」
「はい!」
窓から入る光に金の柊のブローチが光り、スクナの胸元でしゃらりと音を立てた。
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