第27話 冬の海
鎌倉の七里ヶ浜にパシフィックドライブインというカフェがある。
名前の通り、テイクアウトがメインのお店で、車の人たちがふらっと立ち寄り食事を買って車に戻る。カリフォルニアのロードサイドにあるバーガー屋のような風体だ。
そこで働いている人たちは海の匂いがする。真っ黒に焼けて、髪も金髪で、ビーチボーイズ、ビーチガールズだ。店にあって、とても良い。
「でも、彼らって、夏はいいけど、冬はどうしてるんだろうね」
「南半球いくんじゃない」
「あるいは、スノボとか?」
「なるほど。夏はサーフィン、冬はスノボ」
たまたま、そんな会話をテーブルでしていると、店員さんがその会話を耳にしていたらしく、話かけてくれた。
「違いますよ。冬の海こそいいんですよ。夏の海はみなのものです。多くの人がきます。カップルも家族も。でも、冬の海にくる人は少ないです。私だけのものって感じがするんです」
なんだかそこに示唆がある、と思った。
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