独りぼっちの鬼と王女の話

雪代すい

第1話 プロローグ

 アメレイの国の東側の丘には一年中花を咲かせる桜の木があった。アメレイ国民達は決してこの丘に近付こうとしなかった。



 この丘には真っ白な髪、血のような紅の瞳を持った人喰いの鬼が住むという。

その鬼の名はヨイと言った。



その鬼は元は人であった。



 しかし数百年前のある出来事が起こりヨイは鬼に成ってしまった。

 居場所を追われたヨイは鬼に成ったその日から桜の木の下に住むようになった。



 鬼に成ったその日から、独りに成ったその日から桜は一年中ヨイを見守るように咲き続けている。





 ヨイが元は人であったこと、


 桜の木が咲き続ける理由を知るものは桜の木以外は誰もいない。

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