出会い

第2話 出会い1

 僕と先生が、出会ったのは三年前の夏でした。何事にも興味の沸かない僕はフラフラと、道を歩いていたところ、子供の声でにぎやだった公園のベンチで、座っていた先生の前を通ったとき、先生が僕に、「社会を知らずに無邪気に遊んでいる子供って素敵だとは思わない? 私は芸術作品を作っているのに、社会はそれを認めたりしないのよ。まあ私の、作品を表に出したことなんて一度もないけどね」と不敵な笑みで微笑みながら言った。

今考えると先生の言っていた言葉が理解できるのだが、あの頃の僕は、芸術家としてまだまだだったので言葉の意味が分からなかった。

 優人は、自分の世界に、入ったかのようにひとりでに話を進める。

「僕は、先生の不思議な魅力に、飲まれてしまい。その後は、公園の近くの喫茶店でお茶をしながら先生と話しました」

「わたしの行きつけの喫茶店があるからそこに行かないかしら?」と聞かれた僕は、誘いを断ることなど選択肢になくすぐに返事をした。そこで断っていればこんな悲惨なことにはならなかったのだが....

喫茶店へ行く道中、周りの視線が僕と先生に集まっている気がした。これはきっと女性ととなり合って歩いたことすらない僕が、先生のようなきれいな人と隣同士で話しながら歩いていたのが、うれしくて向けられてもいない視線を感じていたのだろう。

がらん

「ドアを開けるとレトロな雰囲気の音楽が流れていて、女性とまともに話したことのなかった僕の緊張が解けその後は、先生と二人で楽しくお話をしました」

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