333ラジオ

広友孝美

333ラジオ

ちゃっ、ちゃ、ちゃらり~

らりらりら~り~ 


「さぁ、今夜も始まりました。333ラジオのお時間です!

お相手は私、生まれも育ちも葛飾柴又。ペトロ・ルーズ jr.です!どうぞよろしくお願いします。

今日はいきなりオープニングにこの曲をお聴きくださいね。

Jealousy Angelsで『きみじゃないよ、きみの後ろのコを視ているの』です」


ワン・ツー

ワンツースリーフォー♪

きみは電柱~ 私は彼に夢~中~

目障りだからちょっと~ どいて~

勘違いしないでよ~


彼に熱中~ きみはまるで害~虫~

目障りだからすぐに~ き・え・て~♪

邪魔しないで! よ~!


考えられない!

絶対あんたはモテ要素なし

考えられない!

彼のことしか考えられないの


No No No No...


以下省略



「さて、聴いていただいたのはJealousy Angelsの1stシングル『きみじゃないよ、きみの後ろのコを視ているの』でした。

そして今日のゲストは何と!みなさんお待ちかね、Jealousy Angelsのあのお方!

21世紀に現れた世界三大美女に匹敵すると言われる究極アイドル、小鳥真理李さんです!

どうぞよろしくお願いします!」


「こんばんは♪本人は美人というよりも超かわいいをモットーに生きている小鳥真理李ことマリリンコです。よろしくお願いします♪」

「よろしくお願いします。いや~、間近で見ると本当にかわいくてちょっと胸がドキドキしてしまいますが、心を落ち着け平常心でたくさんお話しを聴いていきたいと思います!」

「アハハ、ペトロさんちょっと面白くて気持ち悪いこと言うけど、私はけっこう好きです!私もいっぱいお話ししたいです!」

「そうそう。マリリンコちゃんといえばちょっときついトークとかわいいルックスのギャップで一気に人気が出ましたからね。内心どういう攻撃を仕掛けてくるか楽しみにしてたんですよ」

「そうですか?けっこう最近のコって隠してるけど普段はこんな感じですよ。って、ペトロさんって想像していたよりかなりイケメンですね~♪」

「いや~、よく言われます!お褒めいただきありがとうございます。マリリンコちゃんにも言われると嬉しいですね。

と、いったところで…」

「チッ」

「あれ、今舌打ちした?」

「してないですよ。私の守護霊クレオパトラなんでラップ音が良くするんです」

「ラップ音って、それ背後霊とかヨクナイやつなんじゃないかな?」

「はい。そうかもしれないですね!!!

で、次は質問コーナーですよね!?」


「はい、テキトウにあしらわれたところで恒例の『教えて君のこと!ペトロズ・クエッションのコーナー』に行きたいと思います!」


(BGM)

おしえて~おしえておしえて~

ペトロズ・クエッションタ~イム!!!


「このコーナーではメールやはがき、Twitterでいただいたみなさまからの質問をたくさんマリリンコちゃんにぶつけていきたいと思います!覚悟はいいですか?」

「はい。もちろんです!

て、今時はがき書く人とかいるんですか?」

「いますいます!ほらこんなに!約300枚は来てますよ。

ちなみにメールの方は1500通以上来てるみたいだしTwitterにいたっては、このラジオのことが現在トレンド入りしてるそうです」

「へぇ~すご~い。はがきなんて年賀状か懸賞か空耳アワーぐらいだと思ってました~」

「マリリンコちゃんははがき書いたりするのかな?」

「小学校の頃は不幸の手紙とかあまった年賀はがきに書いてましたよ」


「...本当なのか冗談なのかわからなくて返しに困るね。

では、早速最初の質問。ラジオネーム ぽんぽこぴーさんからです。

『いつも綺麗な真理李さん。美容の秘密やスタイルキープの秘訣をぜひ教えてください』

なにか食事制限とか特別なことやってる?」

「べつに」


「あれ、それでおしまい?」

「本当に特別やってないです。好きな物食べて運動っていっても普段のダンスレッスンぐらいだし。しいていえば小食なので本当いろんな人にびっくりされます」

「そっか。JAのダンスはフォーメーションが次々に変わるし、いい運動になるから他に運動とかしなくてもやせそうだよね。

では、続いての質問。ラジオネーム ポテト男爵さんから

『マリリンコさんは休みの日は何をしてるんですか?休みの日のオススメな過ごし方があったら教えてください』

これはたくさんの人が気になってることですね。」


「そうですね~。休みの日は友達と買い物に行ったり、ショッピングとかしてます♪」

「買い物もショッピングも同じだね。そっか。メンバーの子と一緒に行くのかな?」

「はい。犬猿の仲のAmiちゃんとよく出かけます♪」

「犬猿って、ケンカするほど仲がいいってこと?」

「いえいえ干支です」

「そういうことか。面白い例え方だね。仲が悪いんじゃないかって内心びっくりしちゃったよ」

「あっ、一応彼女私と同い年ってことなのに変なこと言っちゃったかな。あとでカットとかできます?」

「あぁ、、生放送なのでちょっと無理かな。とんでもない爆弾が落ちたところで曲の方に行きましょうか。Jealousy Angelsで『Snow Magic Land』どうぞ!」



冷たい雪が 溶けていく

私の心も 溶けていく

一緒に入ったこたつの中で

ミカンを私に食べさせて


何で泣いているかって

嬉しいからに決まってる

ミカンの汁が目に入ったって

言わないこれは嘘じゃなくマジック


以下省略



「Jealousy Angelsで『Snow Magic Land』でした。

しっとりしたナンバーでしたが、Twitterは現在大炎上しております…

マリリンコちゃん。とんでもないことになってるけどAmiちゃん大丈夫かな?」

「まあ話題が作れてよかったと思いますよ。あの子あんまり華がないんで目立てて嬉しいと思います」

「Jealousy Angelsの曲の歌詞もえげつないの多いけど、マリリンコちゃんもけっこうすごいよね」

「あれですよ。敵に塩を送るってやつです♪」

「いやいや、敵じゃなくて仲間でしょ。しかも塩を目に入れた感じだよ。Amiちゃん今けっこう心が痛いと思うよ」

「大丈夫。愛のムチです♪」

「そうですね。マリリンコちゃんの無知の力ですね。

ちょっと質問するのが怖くなって来ましたが、次にいきますね。

ラジオネーム あゆあゆさんから

『メンバーで仲良しな…』

え~、他の質問に変えますかね。

ラジオネーム 三度の飯より五度の飯さんから。

『Jealousy Angelsの曲で特に気に入ってる曲を教えてください』

この前アルバムも出ましたからね。マリリンコちゃんはどの曲が好きなの?」

「え~、困っちゃうな。もうこれ完全に2択でしょ?」

「そうかもね。ブレイクのきっかけになった『Love me more more』か話題の新曲『ハニートースト』」

「そうなんですよ。Jealousy Angelsの曲って変なのばっかりなんで。やっぱりかわいいLm3かな」

「あの曲素敵ですよね。僕もシングルが出た時すぐに気に入って買っちゃいましたよ。カラオケでも盛り上がるもんね。」

「わあ。嬉しい。ありがとうございます!カラオケランキングも現在46週連続1位だし、まだまだこの曲はいけるなってみんなでよく話します♪」

「ではせっかくLm3の話になったので曲を聴きましょう。

Jealousy Angelsで『Love me more more』です。どうぞ!」



love me me me me me…

more more more more…


love me more more

love me more more

もっともっともっともっと

love me more more

love me more more

あいあい愛して


最近素っ気ない態度

マンネリ化退屈ムード

ちょっと寒い天気と温度

温めて欲しい私のハンド


あ~なんで?

君から好きって言ってきたのに

あ~なんで?

最近好きって言ってくれないの?


love me more more

love me more more

もっともっともっともっと

love me more more

love me more more

もうもうもうもうやさしくしてよ


「Jealousy Angelsで『love me more more』でした」

「え~これで終わっちゃうんですか?ここから盛り上がってくるとこなのに」

「ごめんね。マリリンコちゃん。実は番組ももう終わりの時間なんだよね」

「え~ラジオももう終わりの時間なんですか?光陰矢の如しですね」

「月日は経ってないけどね。楽しい時間はあっという間だね」

「楽しくはないけど私もっともっと話したかったです!」

「えっ楽しかったでしょ?」

「もちろん楽しかったですけど、キャラ的に楽しくないって言わないとダメなんで♪」

「それを聞いて安心しました。今日はお忙しい中来てくれて本当にありがとうございました」

「こちらこそありがとうございました。ペトロさん後でサインくださいね。母がファンなんです」

「そういうのは後で言ってね。生放送だから」

「あのよかったら幸恵って言ってもらえますか?」

「お母さんの名前?」

「いえ、祖母です」

「そっか。家族そろってこのラジオ聴いてるんだね」

「いや、兄はペトロさんの話が好きじゃないって言うから聴いてないです。早く幸恵って」

「ちょっとお兄さんのことは言わないで欲しかったな。

では。幸恵さん。いつもラジオ聴いていただきありがとうございます。マリリンコちゃんの素敵な声届いたでしょうか?これからもラジオ楽しみにしていてくださいね」

「え、そっち?おばあちゃん私の後ろにいるんだけど」

「あれ、マリリンコちゃんそういうキャラなの?」

「言ったじゃないですか。さっき話したクレオパトラっておばあちゃんのあだ名なんですよ。

私にばっかりかまってるからさっきからラップ音たくさんしてるのに。名前呼んであげてくださいよ」

「やめてよそういうの。僕怖いの苦手なんだけど」

「怖くないですよ。代わりに手紙とか書いてあげれば悪いことしないんで。

あ、ちょっと怒ってるみたいだから早く幸恵って呼んで」

「さ、幸恵さん。そちらにいらっしゃいますか?」


「うわ!わああああああぁぁぁ!」

ガタガタドン!ドドドド!


椅子が倒れいろいろな物が落ちる音がした。

明るいエンディングのBGMと一緒にペトロの絶叫が聴こえるというこの回のラジオは、別名クレオパトラ回と呼ばれ今も多様な動画サイトに音源が上げられている。


小鳥真理李はこれをきっかけに2000年に3人の美少女アイドルから時の人となり、様々な番組に引っ張りだこ。次の年の春には主演映画の公開も決まった。

そしてその2年後に発売された『祖母と私の関係』という子ども時代からの経験を綴った本はベストセラーとなりドラマ化もされる予定である。


一方ペトロはラジオの終了後から完全に気が触れてしまい、現在も精神病棟に入っている。

毎日一人、不幸の手紙を書きながら。



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