ドMの転生奮闘記~それでも俺は自殺がしたい~
相模原帆柄
Prologue
死にたい。
物心ついた時から、そう考えるようになった。
というのは流石に冗談だ。
けど、高校生になる頃には考えてた気がする。
生きるのが、辛くなったのだ。
一応大学も出て、就職もした。けれど、そんなことは関係ないのだ。
結局、俺は弱い人間で、この世界に、社会に勝つことが出来なかった。
……詰まる所、結論から言えば。俺は自殺を試みた。決行した。
2032年1月23日。午前6時14分。
前日、サービス残業で会社のソファで寝泊まりした俺は、起きて直ぐ屋上に上がった。
眠気を吹き飛ばす寒風が萎びたスーツを貫いて身体に襲い掛かってきたのを、よく覚えている。
そして、フェンスをよじ登り、28階建てのビルから身を投げ出したことも、記憶に新しい。
幸い、地面と激突した時の記憶は無い。痛みもない。
……と、いうか。
俺は、本当に死んだのか?
なぜ今、意識があるんだ?
……よく分からない。
身体は自由に動かすことができない。
だが、目を閉じている感覚はあった。
今自分が置かれている状況を確かめるべく、妙に重い瞼を開けると。
まず見えたのは木の天井だった。
辺りを見回すと、木の柵が見えた。
どうやら、ベッドに寝かされている様だった。
そして、視線を自分の身体にやると。
……小さい。
決して局部のことを言っている訳では無い。決して。
全てが小さいのだ。恐らく身長などは3分の1以下になっているのではないだろうか。
俺は、こういったサイズの人間に対する呼び名を知っていた。
……そう。
「おんぎゃああああああああああああああ!!!???(赤ん坊になってるじゃねえかああああああ!!!???)」
BABY。赤ん坊である。
わからないことだらけだが、現状を完璧に理解することは、今の俺には不可能であることだけは確かだ。
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