文化部少年たちの恋模様
山西音桜
演劇部
プロローグ
子供のころに見た夢は、今も胸の中にある。でもそれは、宝箱に大切にしまわれていて、取り出しては眺めるためのものになってしまった。
子供のころ、役者がすべて女性の演劇を見た。
「男の子が意地悪ばかりしてくる存在」という認識だったその頃の私は、紳士で情熱的で、優しくて格好いい男性像を演じきった女性に、魅せられた。
理想の男子がいなければ、自分がそれを演じて、知らしめればいい。
そう考えた私はその道を志すようになった。
目指すは役者、それも男役で。
ずっとその目標を胸に生きてきた。
しかし神様は無情だった。いや、もしかしたら、私の夢への情熱は遺伝という壁を超えるものではなかったのかもしれない。
男役をやるには、私の身長は小さすぎた。あと、顔も幼すぎた。
143㎝という小さな体躯と、小学生の時で止まってしまった顔の造形をそのまま高校生まで持ち越して、気づけばあと一年で卒業という時期まで来てしまった。
私の夢は、もう叶わない。
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