誕生の反復
<逆回転>・・・・・・残酷な詩でさえ、何度でも君のため、僕は歌うのだということ。もう一度やり直せるなら、もっと上手に生きられますように。だが技術的に巧妙になったところで裏切られた決意も静めようもない絶望も何一つとして癒されるものはない。自意識を創造したことで子供に永遠に恩を着せ続ける男、肉体を産んだことで無限の奉仕を強制する女に今更何を返せばいいというのか。日常生活が人間を構成するための労働に過ぎないというのなら、地上に意味はなく、ただ奴隷制度の永続だけが残されているということになるだろう。名声が、永遠の生命が、ただ喜劇のように踊ることを目的にしていうというならば、ポーズというポーズをとっている奴等が笑い者になるということに何の不思議もない。名前を呼ばれたら犬のように吠えるというわけだ。人生の至る所で見いだされる死と衰亡に震え、不安に対する呪文を怒り狂って唱え続けるというのにはもう疲れた。解放はいずれ徒労に至るという幻想、生きることが絶望で埋め尽くされるという解釈「ニヒリズム」。理解されるということが自由な表現を奪っているのなら、有り余る虚栄心を捧げるのではなく、ほんの少しの率直さを口ずさめばよいのだ。そうすれば人生を物語の正当化で救うなどという大言壮語に陥らずに済む。生まれた後のことを考える限り楽園から追放されているみじめさを発見するだけだ。生のおののき、それは誕生を反復して遊ぶということにある。生まれてきたことを事実として固定することが人生の不幸を取り返しのつかないものにしているのだ。逃避できない運命を愛し続けるという幻想である近親結婚は生まれなかったという「事実」を反復する。だから兄弟姉妹が孕んだ子供はカードの神々によって祝福され、キャラクターとしての人生をプレイヤーとしてゲームバトルで再現しなくてはならない。チームとしての友情や孤独に対する憧れが神々に対する感謝として感じられる時、兄妹や姉弟はキャラクターを持ちたいという願いを抱き、綺麗な身なりに着替えて結婚の準備をするだろう。老年であることで威厳を備えるようになった神官や巫女たちの手を借りて愛の誕生を何度でも繰り返すのだ。それは運命の姉妹が奏でる黒ずんだ狂喜の旋律を前にして人類の歴史を真っ二つに打ち砕くまで終わらないリズムをハンマーのように打ち鳴らす。人類は幻聴しうる最悪の旋律を、機械仕掛けではない残酷な神々の笑い声を聴くのだ。
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