神さまの超ニート

Jack-indoorwolf

第1話再会

「私は神だ」

 ツヨシは六畳間の自室で窓を背にしてハーマンミラーのオフィスチェアーに座り、畳の上に正座するヒカルに語った。

 室内は雑然としている。すべての家具は古臭い。壁には所せましと何らかの書類がピンで貼られている。すみにはダンボール箱がいくつか積まれていて中には紙の本、膨らんだポリ袋が入っている。片付けられていない布団にそのまま脱ぎ捨てられた汚れた下着や衣類。

「たまには散歩にでも出たらどうだ?」

「私は忙しいのだ」

「働く気はないのか?」

「全くない」

 ヒカルの問いにツヨシは迷わず答えた。

 ツヨシとヒカルは同じ大学の同窓生だ。東京にある日本でも名だたる有名校。ツヨシは就職活動が始まる頃から大学には来なくなった。ヒカルが携帯に連絡しても反応なし。SNSでもツヨシの様子はわからない。ツヨシは消息不明になった。

 ヒカルは大学卒業後、大企業に就職した。キャンパスに通わなくなって2年が経つ。だが、ヒカルは学生時代仲のよかったツヨシがとても気がかりだった。青春時代を共に過ごした友人がトラブルに巻き込まれているのかもしれない。

 ヒカルは5月の連休にツヨシの実家を訪ねることにした。しかし数年ぶりの再会はそっけないものだった。結局、ヒカルはツヨシがニートになっていることを知る。

 そして数年ぶりに再会したツヨシはカビ臭い部屋でヒカルにこう宣言したのだ。

「私は神だ」と。

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