物語

@AmAne0AmAoto

何も思い出せない

目が覚めた


そこは自分の知っている場所ではなかった


頭が痛い


割れるような痛みがする何も思い出せない


私は布団に寝かされていた左手首には包帯が巻かれていたどこかで怪我したのかそれよりも


ここはどこだろうか


ガチャガチャと音が聞こえた


音のする方へ行ってみると玄関の扉が開いた


「あらもう起きたのね大丈夫?」


女性が両手に大きな荷物を持っていた


ここの家に住んでいる人なのだろうか


「あのー…」


「ダメじゃない部屋に居なきゃ風邪引いたら困るでしょ」


私の彼女なのだろうかとても優しくしてくれる


「あのすみません私記憶が思い出せなくて…どうすれば」


「えっ……そうなの⁉……私が思い出すまで見ててあげるから心配要らないよちょっと出掛けるから待っててねテレビ見たいなら観ていいから」


彼女はそう言って部屋から出ていった


今思うと部屋が暗いカーテンを開けてると日が当たる


いい天気だから寝ていた布団を干すことにする


布団を持ち上げるとカードが落ちたそれを拾い見た


それは免許証だった


"斎藤結城"という人の物だった


一体誰だろうか彼女の彼氏なのだろうか


窓を開けてベランダに布団を干すとてもいい風が部屋に入り込む


「うっ…目が」


目にゴミが入ってしまった確か部屋に鏡があったはず窓を閉めて記憶を確かに鏡があるところに行く鏡はすんなり見つかり見る


「ん?」


なんだか見たことがある顔が鏡に映っていた

それは免許証で見た顔"斎藤結城"の顔と同じだった


偶然だと自分に言い聞かせテレビでも観て気分転換しようとテレビをつける


チャンネルはニュースが入っていた


『今日で1週間行方不明になっていた"斎藤結城"君が未だに見つからず捜索を…』


行方不明?


"斎藤結城"という人が行方不明になっていたるようだそういえば私の名前は一体ダメだ思い出せない


バタン


玄関の扉が閉まる音と同時にドンドンと足跡が聞こえる


「なにやってるの!なんでカーテンを開けてるの!」


先ほどあった彼女とは思えない怒った表情をしていた


「いや、部屋が暗かったから…」


「いいの!余計なことしない」


彼女の手元には包丁が握られていた


彼女は包丁を降り下ろして私の右手首を切る


「痛い、痛い」


「いい!黙っていなさい"斎藤結城"!」


私はえっ?と言って彼女の顔を見た


「ちっ黙っていれば怪我はさせなかったのに」

彼女は包帯を切った手首に巻いてくれた


私はまた頭が痛くなった


「あ…思い…出してきたそうだ出掛けたらあんたが後ろからハンカチを口にやって意識が遠くなって気づいたらここにいてその包丁で左手首を切ったんだ激しい痛みと恐怖で気絶した」


「逃げられると思ってるの?あんたと身代金を交換する予定なんだから逃げるなよ」


女は今度は拳銃を持って私に狙いを定めている下手に動くと容赦なく撃ってくるはずここは従うべきなのだろう


「時間ね着いてこい」


女に目隠しされて部屋を出る車に乗せられてどこかに向かっているようだ


「降りろ!」


数分もしない内に目的地に着いた無理やり降ろされた


「結城!」


聞き覚えのある声目隠しを取ると両親がいた


「動くな!金は用意したんだろうな?」


「金はある結城をこっちに」


「金が先だ!早くしろ撃つぞ」


父親がケースを持って地面に置いてすぐに戻りそのあとに女がケースを取りに来た


「確かに…ほら行きなもう用はない」


背中を押されて解放された


女は車に乗り逃亡した


1週間ぶりに家族の顔を見て安心したそして泣いた


事件から一ヶ月後に女は捕まった


お金は全部使われてしまったが息子が無事で良かったと両親が言っていた


しばらくして用事があって私は出掛けた防犯ブザーを持って何かあった時のために


さて気をつけて出掛けてきます



……


………


遠くで誰かが私を見てる気がする








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