続、別れ

最後に会ったあの日から

六度めの満月が昇る頃

娘は一人の赤子を産んだ

願ったとおりの赤子を産んだ

けれども娘は衰弱していた


娘は侍女に城へ行かせた

あの人を呼んできて欲しい


愛しい貴女が城で住めるように

后たちを説得していたんだ

子どもができていたなんて知らなかった

立場を気にせずもっと早く来ればよかった

貴女を忘れた時なんてなかった

僕は貴女を一番に愛している

だからどうか

もう一度目を開いて声を聞かせてくれ


涙を流して愛を告げて

王は娘を優しく撫でた

鱗をもがれた尾を撫でた


王は娘に口付けたけど

娘はまぶたを閉じたまま

何も答えはしなかった




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