第12話
あなたは、城の衛兵の中に、特別な役割を持つ人間がいることを知っているだろうか? もちろん衛兵なのだから、普段は城の警護に当たっている。 しかし、それ以外にも、当番制で旗の上げ下ろしや、朝のラッパを吹くかかりなど、別の役目をすることがある。 私はその中でも特別な、ゼリーガーディアンだ。 ゼリーガーディアンは任命制で、死亡するか重大な事故を起こさない限り一生続く、ついでにいえばお給料もいい。 私はこの仕事に誇りを持っている。 するべきことは決まっている。 ゼリーがプルプルしているよう、水分を絶やさないこと、ゼリーの配置も決まっている。 北の方角から時計回りに赤、青、黄、緑、紫、白だ。 ゼリーは大きさも決まっている。 城の厨房にある特別の金型で、慎重に大きさを揃える。 腐ってしまう前に取り替えることも決まっている。 その昔、城の王様が、占い師に占いをしてもらったところ、ゼリーを六つ、六角形の形に城の塔に置かなければ、大いなる災いがこの国に降りかかると告げられたのだ。 以来、衛兵にはゼリーガーディアンと呼ばれる職を持つものが置かれた。 城の北にある塔の見晴らしのいい台の上に、大きなお盆とゼリーを六つ置き、その上に透明のカバーを掛ける。 私は今日も、昼のラッパの合図とともに、ゼリーをもち、北の塔へ行く。
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