第7話

それは小山のようなゼリーだった。

「先遣隊何か見つかったか?」本部からの連絡が来る。

「大きなゼリーです」「ゼリーだ」「ゼリーだ」「ゼリーだ」「ゼリーだ」触角づたいに情報が伝達される。

「女王様、ゼリーだそうです」本部にいる参謀のもとに情報が伝わると、参謀は我らが女王にそう報告した。

美しい女王、もちろん黒光りする腹をもち、たくさんの卵を産んでくれる美しい女王だ、は重々しく頷くと、

「わらわはそれが食べたい、持ってまいれ」と命令した。

「女王はそれがご所望だ、行け」参謀が司令を組み立て、伝達する。

「行け」「行け」「行け」「行け」情報が、また触角づたいに伝達される。 働き蟻に、先遣隊に。

「ゼリーだ」「ゼリーだ」「ゼリーだ」「ゼリーだ」絶え間なく情報を送ってきていた先遣隊に司令が伝達されると、先遣隊からの情報が変わる。

「女王様に」「女王様に」「女王様に」「女王様に」ゼリーを小さく噛みとって、次から次へと運んでくる。 あっという間に小山のような大きさだったゼリーは小さくなっていった。

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