　世界は大きなカオスの中に包み込まれている。テロや内戦により住む場所を追われる人々を世界中が受け入れるべきか否か、国々で大きな決断を迫られ、テレビのニュースでは難民を受け入れてくれる国に向け、人々が大移動している姿やゴムボートで命からがら脱出を試み、途中で死亡する人々の話題が報道されている。

　昔から、中東は世界の火薬庫と呼ばれ、宗教戦争や民族戦争が絶えない場所だ。いや、中東だけではない。アフリカにも貧困が生んだ反政府ゲリラが跋扈している。果たしてこの場合のゲリラは悪なのか、それとも反政府ゲリラを生んでしまった現政権が悪なのか。判定する術を私は持たない。

　しかし、全世界を見渡す限り、悪政を敷いている国は多いようだ。最近話題になっている『パナマ文書』を見ても分かるように、政府のトップたちが裏で国民を裏切るようなことを平気で行っている。この厚顔無恥な者たちが国家運営を行っているのだから、国政が本当の意味で良くなる事を期待するのは無理があるだろう。

　歴史が物語っている。国家は常に国民を騙している。特に近代の国家は嘘と欺瞞に満ち溢れている。

　例えば、日本人は第二次世界大戦は全て我が国が悪いと思っているが、絶対に参戦しないという公約の元に大統領になったルーズベルトが、チャーチルとの参戦する約束を果たす為、日本を窮地に陥れ、我が国が先に手を出すように仕向けたことは、最近の研究で明らかにされている。

　そう、記憶に新しいところでは、９．１１のテロ。あの時のツインタワーの崩壊映像は、明らかにビルの爆破解体による崩れ方なのだ。

　しかし、この二つの例で大切なことは何かというと、アメリカが襲われて国民の命が奪われたという、この一点に尽きるのだ。

　権力者は自国の国民性をよく熟知している。真珠湾が日本に攻められることを事前に知っていても、知らなかったことにして日本を悪者にして、欺瞞の正義の旗の元に国民を戦争へと向かわせたのだ。９．１１も然りだろう。テロリストを泳がせて実行させる。未然で捕まえたのでは戦争に入ることができないから。

　では、日本人はどの様な国民性なのだろか。私が思うのは。従順なのだと思うのだ。例えば福島の原発事故の時、当時の政権の官房長官が「直ちに健康被害はない」

とか「メルトダウンではない」と国民に嘘をつき、地域住民を被爆の危険にさらした。これは、後日の実証で明らかにされている。実際ＳＰＥＥＤＩの資料が出てきたのは事故後何日も経ってからであり、その結果として住民のかなりが被爆したことは明らかにされた。

　原子力規制委員会が政府に何故資料の存在を知らせなかったのか。当時の政治家は言うだろう。地域の住民がパニックを起こさないようにするためには、あのような発表の仕方しかなかったと……。

　そして今も、政府は原発をフル稼働させようと必死だ。日本は世界屈指の火山国であり地震大国だ。九州では今年に入って、震度７を同時期に二回も記録するという、学者さんが想定もしていなかったようなことが起きた。

　五年前の東北大震災の時もプレートが一気にずれ、震源はピンポイントではなく南北に幅２００Ｋｍ、長さが５００Ｋｍという巨大な震源域だったわけで、これも学者さん曰く、「想定外」の地震だったわけだ。

　今のままだと、今後起きると言われている、関東直下型、東海、東南海の地震が想定外に同時多発したら……。日本人は戦争ではなく地震難民になってしまうかも知れない。そう、小松左京さんの「日本沈没」は実は日本が海底に沈むのではなく、巨大地震を引き金にして国内の原発が、悉く福島のようになってしまい、そしてこの国全てが放射能に汚染され住むべき土地が無くなる。その為、日本人は難民と化し世界中に受け入れを求める。そんな形で実現しそうなことにもなりかねない。

　願わくば、政治家の先生方、日本人を地震と原発事故の難民にしないよう国のかじ取りをしてくださいね。……多分、無理だろうけど。