江戸弁の法則

 火事と喧嘩は江戸の華。昔っから江戸っ子の性格は短気と言われています。その短気さが、実は江戸弁、即ち江戸方言に表れているのをご存知ですか。つまり、言葉を短くしてしまうのが江戸弁の法則。


 例を挙げると「てやんでい、こちとら江戸っ子でい」と啖呵を切るときの「てやんでい」と言うのは「何を言ってやがるんだい」を縮めた言葉。これが普通に「何言ってやがるんだい。俺様はなあ、江戸っ子なんだぞ」なんて言ってたら、喧嘩のときなんか、多分殴られてますよね。短気で喧嘩っ早い江戸っ子の事、話す言葉も縮まっていったんでしょうね。


 もう一つの江戸弁の法則。それは「あい」の発音が「えい」又は「えー」の発音に変わることです。「たい」は「てい」、「だい」は「でい」、「まい」は「めい」という具合です。だから「江戸っ子だい」が「江戸っ子でい」となり、魚の鯛は「てい」、「違いない」は「ちげーねー」となるんです。


 しかし、なんでもかんでもこのパターンに嵌るとは限りません。笑い話があって、ある人が江戸っ子の振りをしてカッコいい外国人男性に「ナイスガイ」と言おうとして「ナイスゲイ」と言ってしまい、変な顔をされたなんてことも・・・。


 このような法則性を考えた時、最近の若者が使ってる言葉、「カッケー」という表現は何処から来たのと聞きたくなるのがおじさんなのです。私たちが若いころ「カッコいい」を「カックィイ」と言った事はありましたが、「おい」の発音から「エー」の発音に変化する言葉は、日本全国どこを見渡しても無かったと思います。


 そのせいでしょうか。「カッケー」なんて言葉を聞くと、ビタミンAが不足してるの?なんて突っ込みたくなる。ま、ジェネレーションギャップと言うやつですかね。


 そうそう、ひと昔前に「キモ可愛い」なんて言葉も有りましたよね。あの時なんか「気持ち悪い」のか「可愛い」のかどちらなんだって・・・。本来、気持ち悪いものが可愛い筈がない。そんなこと言ってたら強面の人が可愛い素振りをしたら「コワイイ」なんてことになるのか・・・?


 そんな突っ込みを一人で入れていたおじさんは私です。最期は江戸弁の法則からかなり脱線してしまいましたね(笑)

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