第47話 ネタ明かし

家に戻って、リビングのソファーに腰掛けてから、俺は切り出した。

「美桜ちゃん。君はね、我妻家に全部行動も見られてたんだよ」

「えぇ!?」

驚くのも無理はないか。

「今は東京が壊れたから大丈夫の筈だけど、後できちんとこっちで壊しておくから。まぁ、これも聡夫が見つけた事なんだけどね」

俺は苦笑いしながら続ける。

「だから、持ち物は全部このリビングに持ってきといて」

もちろん、やるのは俺じゃない。母だ。

「分かった」

「それと、今すぐ風呂入ってきて。そのうちに俺も準備するから」

「準備!?」

風呂……準備……あ……

「ごめん。そういう意味じゃ……あれ?」

謝ろうとしていたら、美桜ちゃんはどこかに消えていた。いや、もう風呂に入りに行ったのか。

「やっちまった……」

取り敢えず、あれ持ってこようか。




「上がったよ〜」

「うん。バスローブなんてどこにあったのかとか、そういうツッコミはやめとくよ」

いやだって、家にないのがあるのっておかしいよね?それに、バスローブ羽織ってるだけだし。いや、バスローブは羽織るものか。

「えっと……なにか勘違いしてるっぽいから、先に誤解を解いとくけど」

「エッチな事じゃないんでしょ?それぐらい分かるよ。だって、そんな根性ないもんね」

「ぐはっ!!」

いやいや、本当にそうなんだけど。そうだけど、そう言われると威厳とかプライドとかが……

「それで?何くれるの?」

「聡夫からの手紙と荷物」

「え……?」

まぁ、手紙は俺も予想してたけど、荷物は完全に予想外だった。

「読むも捨てるもよしだから。決めるのは美桜ちゃんだよ」

「……」

まぁ、悩むわな。

「ちょっと1人にさせて」

「分かった」

俺は美桜ちゃんをリビングに1人残して、部屋に戻った。

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