D.R.E.S.S-ドレス-
高見 雷
第1話 出会い。変態青年と少女
A.D.2020年 東京直下型地震発生。
それによる群発地震が各地で起こり日本の国土の半分は海へと沈む。
A.D.2030年 地震による復興の最中、美術品などを回収しようと海底調査が開始
された。
A.D.2035年 サルベージ・チームは海底で謎の球体を発見し持ち帰る。
同年。各、研究機関の球体分析が開始される。
A.D.2050年 とある研究機関により謎の球体から未知の素粒子が発見される。
未知の素粒子は
A.D.2060年 起源素粒子により劇的な進歩を遂げた人類。
ついに夢のメカニズムを完全解明することになる。
各、研究機関は夢を再生出来ないかと実用化に向け実験を始める。
そして。A.D.2100年
DRESS【ドレス】と言う機器を使い夢は再生され、人々の間で売買されていた。
D=DREAM【ドリーム】
R=REVERSE【リバース】
E=EVOLUTION【エボリューション】
S=SYUMIRE-TO【シュミレート】
S=SYSTEM【システム】
ドレスと言う名称は各、頭文字を取り名付けられた。
この機器はサンバイザーの様な形をしており、網膜から脳(
ドレスの横には小さなメモリーカード(夢ソフト)を差し込むスロットがある。 そこへソフトを入れ起動すれば仮想空間にダイブして他人の夢を見る事も、書き換える事もできる。
夢を書き換える行為は基本的には違法。ドレスに非合法なプログラムをインストールしないと書き換えコマンドは通常は存在しない。
書き換えた夢はリアリティ重視とされ、完成度が高いほど高額で売れる。ただし、一般市場ではなく海賊版として闇市でしか取り扱いされない。
一般人気はファンタジー物の夢。だが男性人気はやはりエッチな夢だ。過度にエッチでリアルな夢は規制されているため闇市にしか置いてはいない。
【新東京・第7区画・闇市】
『
俺は休日に闇市へ来ていた。もちろん目的はエロ夢だ!
この前、売ったドレスソフトが思いの外、高額で売れた。そこで所持金に余裕が出来た俺はちょいと過激なエロ夢を買いに来たんだが、これがめちゃ高い!
そんな訳で掘り出し物が無いかと闇市の中を探索しながら歩き回ってる。
俺はジャンク品が置いてある売り場を覗いてみた。
夢ソフトはダンボール箱などに無造作に入っている物もあれば、壁にかけてあるものもある。むき出しでは無い。一応パッケージに収めてある。
ダンボール箱をあせりまくるイブキ。だがピンと来る物がない。
イブキは壁にかけてあるソフトを見てみる
「こ、これは!『お兄ちゃんお医者さんごっこしよ♡』ではないか!」
掘り出し物を見つけたと歓喜の声を上げる。
「妹はいるけどリアルで出来るプレイじゃないな。う~ん1万か~。他に良いのも見つからないし買っていくか」
そう思いカウンターで商品の代金を払う。速くプレイしたい気持ちが込み上げる中、カウンター近くの小箱が気になったイブキ。
中を調べると変わった題名が書いてあるソフトを見つけた。
『言葉と記憶を亡くし旅をする少女』
「なんだろなコレ?闇市では見かけない夢だ・・・。値段も書いてないな」
店主に聞いてみたが、そんなのあったかな?と言う。1000円でいいよと言うので気になるし買ってみた。
「まあ、面白くないなら書き換えてもいいしな」
安いし損はしないだろうと思いながら俺は家に帰った。
イブキは自室のベッドで横になり頭上からドレスを装着する。
『言葉と記憶を亡くし旅をする少女』の夢ソフトをドレス側面のスロットへと入れる。
『リンク・スタート』イブキは口ずさみ仮想空間へダイブした。
イブキが初めに目にした光景は、青い空。果てしなく続く草原。遠くには、ただ地平線が見えるだけ。何とも殺風景だと思うイブキ。遠くの人影に気づく。
「ん?あの女の子は」
草原の真ん中に立っている少女。白い素肌に長い黒髪。幼さが残る可愛らしい顔立ちをした美少女。白いワンピースの
イブキは一歩一歩と近づいて行き少女の前で止まった。そして聞いても仕方がない言葉を反射的に言った。
「君は?こんな場所で何してるの?」
「・・・」
少女はイブキの顔を見つめ口をパクパクするだけで、言葉を口にしない。
「あれ、おかしいな?気のせいか?まあ、エロくも何とも無い夢ソフトだな」
イブキは少女の行動に違和感を感じながら、ボソボソと口ずさむ。
「この際パンツでも見て書き換えるか」
そう思い少女のワンピースの
「・・・」
少女はしばらく沈黙しイブキの行動を見ていた。突然、少女の手の平がイブキの頬をパチッと軽く叩く。
「えっ!どうして?」
俺が驚いたのは叩かれた事では無い。少女の態度だ。在り得ない。夢の人物はゲームで言うならNPCだ!設定上の会話しかしないし、意思を持って話す事も、行動する事もない。
書き換えれば、そういう風に出来ないこともない。だが、こんな何も無い所で少女に打たれるだけの変態プレイは超ド級のMじゃ無い限りしないだろう。
俺はおかしいと思いコンソールパネルを開いて書き換えコマンドを探した。
「コマンドが無い!」
俺のドレスは通常版と違い違法カスタマイズされていて、パネルには普通は書き換えコマンドが表示されている。思わずマヌケな言葉がでた。
「どういうこっちゃ!もしかしてリアル?」
誰かと共有リンクもしてないしな~。不可解だが一応、謝っとくか。
いくら考えても結論が出ないイブキは少女の方を向く。
「いやその、ごめん」
そんなイブキの言葉を聞いてないのか地平線を眺めている少女。
何かがおかしい?名前を聞いて見ることにした。
「君、名前は?」
「・・・」
またイブキを見て口をパクパクするだけの少女。
これは!口が聞けないのか?
その事を聞いてみたけど無言でパクパクするだけだ。
「書き換えも出来ない。これは困った」
俺は一度、
ベッドから起き上がるイブキ。
「何がどうなってんだ?これじゃマジでジャンクじゃないか!」
だが意思がある少女がすごく気にはなる。意思があるなら言葉を教えることも可能かも知れない。
「でも俺って先生でもないしな~、すごく時間がかかるかも」
そう思ったイブキは不器用ながらも数ヶ月の間、少女に言葉を教え続けた。
そんなある日の事。無表情でイブキを見つめる少女は第一声を発した。
『イブキ』
イブキは努力したかいがあったと喜び叫んだ。
「そうだ!イブキだ」
やった!と思った次の瞬間。イブキに衝撃が走る・・・。
「イブキのエッチ」
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