Take‐27 映画『127時間(127hours)』(2010)は面白かったのか?:改訂版


 おっす! オラ、ペイザンヌ。


『トレイン・スポッティング(1996)』『スラムドック$ミリオネア(2008)』、ダニー・ボイル監督の作品はいつも疾走感に溢れていて大好きだ。


 本作『127時間』なんて大半は主人公が岩に挟まれて動けないのになんでこんなにも疾走感があるのだろう。


 前に一度見た映画だが今回改めて二度目の鑑賞。公開前にあらすじを読んだ時には脱出方法があるとすれば“アレ”しかないよなぁ……と、つらつら考えておりましたがやっぱり“アレ”でしたね。いえ、だから面白くないってわけでもなく大満足だったわけですが。


 発端、過程、トラブルに巻き込まれてからの主人公の内面変化、脱出してからの結末まで、すべてのシークエンスに見所満載。


 あらすじだけ読んで『ふーん、ひょっとしてまたあのパターンなんだろな』と勝手に思い込んで放置している映画はまだまだあるけど、やっぱ実際見てみないとわからんということですね。


 逆によくわからないのに何となくわかった風になってしまった映画というのもこれまで多々あったわけで。


 たとえば『スタンド・バイ・ミー(1986)』(ドラえもんじゃないよ)などは最初に映画館で観た時、とてもビミョーな感覚だったの今だに覚えているのね。あれなんかも当時は皆、口をそろえて“あ~良い良いのこりゃさ”と言ってたのでこちらも “あ~良いね良いねのどっこいしょ” と言わねばならぬような気にさせてしまう恐るべし集団催眠の恐怖。


 今でこそ見返してみてノスタルジックな感覚に浸れもしますが、中学生くらいの年齢であの映画を “面白かった!” などと絶賛する人は心のどこかで『なんか終わってんちゃうかな』トカ少なからず思ったもの。


-- イヤイヤ、キミら(僕ら?)まだ違うっしょ! キミら自身がこれから死体を見つけに行ったり、鉄橋で汽車に追いかけられたり、チン〇ンをヒルに吸われたり、おバカなことしたり、冒険するんしょ?!


 みたいな。


『あの頃のような友達にはもう一生出会えない…… 』なんてラストに涙する中学生なんて、なんかヤダ…… 。

(=_=;) 


 みたいな。


 だったらばポップコーン片手に『グーニーズ(1985)』あたりを見てキャンキャン言ってた方がまだ健全かもしれない(?)



 小学校の上映会で『マザー・テレサとその世界(1978)』というドキュメンタリー映画を見せられた時も似たような気持ちになったんだけど、そんなん退屈で上映中紙ヒコーキ飛ばしてるような小学生の方がなんとなく信用できる気がしないでもない。(などと、書いてはいますが“現在”理解できないものでも引出しにどんどん蓄えておくことは大切だと思っております。ああ、矛盾…… )


 映画を観ることは“生きる”ことだなんて大層なことは言わないが、“生きてみて” 初めて理解できる映画があるってのも確かなんすよね。


 まあ、そこまで難しく考えなくても本作『127時間』などはまるっきりエンターテイメントの作品として楽しめるのだが、この映画に限らずやはり自分自身が生きてきた過程とどこかしら照らし合わせちゃうこともあったり。


 誰もが一度は通ったり、後悔したり、考え込む道。映画などで主人公に感情移入するってことは結局自分の感情をより豊かにするための活性剤なんだなと。



 自分をがんじがらめにしてしまう “岩” はあるべくして最初からそこにあった。そう『この岩はずっと俺が来るのを待っていたのだ…… 』そんなことを思う主人公キリアン・マーフィーの気持ちが今の私は腹から理解できているのだろうか。あの映画の良さをちゃんとわかって観ていたのだろうか? よく、そんなことを思いながら昔見た映画をもう一度手に取ったりすることもあります。


 なぜなら例え同じ映画であっても観る側の状況や生活、悩みによってそれは日々、人の数だけ変化するわけだもんね。


『それ』が今現在必要である人もいれば “今は” 必要としない人もいるはず。「あの人は面白いっていったけど私はそうでもなかったな」と意見が食い違ったりするのはただそれだけのこと。


 以前『アナと雪の女王(2013)』の良さが分からないような旦那と生活していけない、という理由で離婚した夫婦(凄いよね…… )がニュースになったことがありましたが、全くもってそんなことはくだらないことです。たかだか映画です。されど映画ですけどね。


 だってたまたま観た映画がその時の自分の悩みを解決する手助けになったり、時には人生を変えてしまうことだってアリエールわけで。



『あの映画は本当に面白かったのか?』



 自分が成長しているかどうかを計るためにも時々そうやっていろんな映画を見直してみるのも面白いかもしれないと書き始めたこのカンソウキ。



 なんだか最終回みたいな口調になっちまいましたがまだまだ続きますのであしからず(笑)




ヾ(@゜▽゜@)ノ








【本作からの枝分かれ映画、勝手に三選】



★『キャスト・アウェイ』(2000)

……大手運搬会社のエリートでなに不自由なく暮らしていた主人公が不慮の事故により無人島へ。四年の月日をただ一人で生き延びた彼に待ち受けていたものは…。親不知おやしらずは抜いておきましょう……ね……。




★『オデッセイ』(2016)

  …… リドリー・スコット最新作。火星探査中、大嵐による事故により火星に取り残されてしまった主人公。次の探査機が火星にやってくるのは四年後(これも四年なのね)しかも到着場所は現在地より遥かに離れた場所。食料は一年分それまで彼はたった一人で生き延びることができるのか? 『アポロ13』に感動した人なら好きかもしれませんね。




★『運命を分けたザイル』(2003)

  ……アルプス山脈登頂を果たしたのち猛吹雪により遭難。転落で重症を負った友人と繋いだザイルを切り放ち主人公は単独救出すべく下山を試みるが……。ドキュメンタリーとフィクションを融合させた異色作だが、死への絶望、寒さと痛さがこの上ない感動作!

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