プロローグ 世界がゲームになった日6
切断。
デーモンは生物を殺すことを何とも思わない様子で切り裂き、それを繰り返す。
緑のゲージは止まることなく減り続け、黄色、そして赤となり、挙げ句の果てに全てのHPが無くなる。
裂かれたものは全員肉の塊となった。
むせるような血のにおいに思わず口をふさいだ。
このゲージが本当にその人のHPであることに気がつく。
吐き気が波が寄せるようにやってくる。
ここで吐いてる場合じゃない。
俺も死ぬかもしれないんだ。
こんなところで吐いてる場合じゃない。
嘔吐中に殺されたら洒落にならないぞ。
隣の姫路は断末魔のような叫び声をあげる。
Lv1の俺たちにこのデーモンを倒すことはできるのか?
そんな事を考える前に倒すしか無い。
背中についた長剣を抜刀し片手で強く握る。
剣はズシリと重い。
デーモンは誠の方へと近づいていく。
そしてこの時の俺は生きるための執着心で戦うという選択肢以外ががあるという事を忘れていた。
誠の頭上にもHPのゲージのようなものが出ている。
俺もミンチにされるのか……。
恐怖で足が震えたため俺は立ちすくんだ。
デーモンはその鋭い爪を誠に向ける。
助けようとするも身体は固まって動かない。
俺を止めるように服を掴まれる。
「行かないで……」
姫路は涙をこぼしながら目で恐怖を訴える。
「で…でも。誠が……」
誠が危ない……でも、俺が助けようとしたところでそれが成功するという確率は低い。
この状況は一体どうしたらいいんだ。
絶望。
その二文字の言葉が頭によぎる。
デーモンの胴体に矢が当たり誠から目を離す。
だがその矢は強靭な身体には刺さらず反射して床へと落ちる。
「やめろ!化け物!」
学級委員は上半身ぐらいある弓を持ち、デーモンの注意を自分に引き寄せた。
弓を持っている手は微かに震えている。
「ゴオオオオオ!!」
裂けている口を大きく開き、県の切っ先のような鋭い牙があらわになる。
教室に並べられた机を無作為に投げ飛ばしながら矢を射た者へとむかっていく。
デーモンが一歩進むごとに天井のコンクリートがポロポロと崩れ落ちる。
投げられた机は姫路の方へと乱雑な放物線を描いて飛んでくる。
俺はそれを見た瞬間に剣をを投げて勝手に身体が動きだした。
自分の身を盾にして姫路を守る。
「ぐはっ!!」
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