この地球が壮大なゲーム機だと誰が知っている?
繰咲絢
プロローグ 世界がゲームになった日
ゲーム
それは楽しく、一種の遊びであり、本物ではない。
ゲームというのは勝ち負けを楽しむものである。
それが本物の戦いだったら負けは死や破産を意味するから、勝ち負けを楽しんでいる余裕などなくなるだろう。
冗談だからこそ楽しむ余裕がある。
「ゲームは真剣勝負ではない」という事を言ってるわけではない。
ゲームは真剣勝負だからこそ楽しいということもある。
俺たち、人類は様々な種類のゲームを自分から求め、この地球という世界でそれをプレイする。
これが常識の範囲内である。
でももし、自分達がこの地球でゲームのプレイヤーになったらどうなるのか。
誰もが、そんなことなど起こるわけがないと思っている。
しかし、それはこれから起きる。
学生の昼休みの教室は蜂の巣をつついたような騒音にみたされている。
「いやあ、音ゲーは最高だな」
前髪を上げ、日本男児らしい目と鼻の持ち主であるこいつは
今はアプリをやっていて下を向いてるためその凛とした顔はあまり見えない。
誠はスマホを横にし、親指でそのアプリのキャラクターを操作しながらこちらへと向かってくる。
まあこいつと俺は高校から出会ったゲーム友達って所か。
「周りを見ながらやれよな。机とかにぶつかるぞ」
誠のしているアプリは今流行りの音ゲーであった。
それはアイドルが踊って歌い、それに合わせて画面をタップするといったもの。
このゲームにはランキングなどがあるらしく、誠は常に上位を目指していた。
「俺には目が三つあるから平気だわ」
こんな風な会話を交えて日頃の昼休みは予鈴がなって終わる。
だが今日の昼休み……いやこれからの日常は予鈴ではなく不可解な事で終わりを告げた。
教室が氷の詰まった部屋のように冷ややかに静まり返る。
その静かさの中に大地がはりさけているような地響き。
窓の外を見ながら教室にいる生徒全員は目を丸くして思わず
「なんだよ……これ……」
グラウンドの地中から物理法則を無視したように塔が出現している。
それが出現すると同時に大きな縦揺れの地震が俺たちを襲い、建物が大きく揺れる。
机の上に広げられた日の丸弁当、ポテトチップスが無造作に床へと落ち、女子生徒たちは耳が痛くなるようほどの大きさで叫んだ。
「机の下に隠れるんだ!!」
黒縁眼鏡をかけ頭脳、容姿、運動、全てが完璧な生徒像のような学級委員が慌てながらも指示を出す。
誠は自分の席ではなく教卓の中へと身を隠す。
窓際の席の俺は机の下に隠れず、目を凝らして現実で起きるはずのないような事が起きている外を見る。
どうなっているんだ?
ただの地震じゃないのか。
一体……あの塔のような建物は……?
「おい!原田君!危ないから早く隠れるんだ!!」
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