女の子はぱんつ穿かない、それが宇宙の大常識
タカテン
第1話 穿いてない皇女がやってきた!
2014年、春。
地球の女性は、ぱんつから解放された。
ことはとある未知との遭遇が発端である。
東京はお台場上空に突如現われた巨大な未確認飛行物体。すわインディペンデンスデイか、ETかと騒然とするも、降りてきたのは地球人と何ら変わらない、ミニスカートから覗く生足が眩しい、金髪碧眼の美少女だった。
「はじめましてごきげんよう、地球の皆様。私は大宇宙連邦第一皇女・シャラン・ラ・シャラン・ラ・ヘイヘ・ヘ・ヘイ・シャランラ。どうか、シャラとお呼びください」
しかも日本語ぺらぺらである。
「実は私、生涯の伴侶を求めて旅をしております」
聞けば戦闘民族である野菜星や、バカ王子が支配する星など、様々な知的生命体が住む惑星を訪れてきたとか。
「しかし、なかなかこれといった殿方もおらず、ああ私は永遠に花嫁さんになれないのかしら、『お隣のランちゃんなんて子供までいるのよ。私たちも早く孫の顔をみたいわ』なんてお父様とお母様からのプレッシャーにもう我慢できない、なんて思っておりました」
よよよと嘆くシャラ皇女に、地球人も思わずもらい泣き。
それにしても見たところまだ十代も半ばほどの年齢で、淡く澄んだ海の色をした瞳も、膨らむところは膨らみ、引っ込むところは引っ込んだ見事なプロポーションも、全てが自ら輝きを放つかのようにキラキラしている。言動にだって育ちの良さを感じさせる、見事なまでの美少女だ。
なのにどうして結婚できないのだろう。その場に居合わせた誰もが疑問に思ったのも当然だった。
「ですが、地球という星の存在を知り、そこで生きる女性の姿を見て、私は勇気付けられたのです。ああ、ここにも私と同じ茨の道を歩む同志がいる、と! そしてこの星ならば、きっと私の白馬の王子様がおられるに違いない、と!」
そしてシャラ皇女はミニスカートの裾をかすかに持ち上げ華麗にお辞儀をしながら、こう仰られたのだった。
「さぁ、勇敢なる地球の男性の皆様、私のスカートの深遠を覗き込んでくださいまし。秘密を知った貴方と、私は永遠の契りを結びたい!」
…………。
……。
あ、えーと、そう、さすがは宇宙人!
……うん、誰も意味が分からなかった。
と、そこへ春の悪戯な風が……。
「きゃあ!」
慌ててスカートを押さえるも、あまりの唐突な突風に、そこかしこで色とりどりの花が咲き誇る。
清楚な白。挑発する桃。輝く黄。蟲惑的な紫。堕ちる黒。魅了する縞々。夢想するイチゴ柄……まさにパラダイス!
だが、人はどこまで貪欲なのか。すでに天上のお花畑にいるというのに、さらなる至高の花を愛でたいと欲する。つまり、かの皇女様は一体どんなぱんつを穿いておられるのだろうか、と。
気になって、気になって、気になって仕方なくて、誰かがチラっと横目で盗み見しようとしたその瞬間。
「……これはどういうことですか?」
シャラ皇女の声が震えていた(なお、スカートは一ミリたりとも震えていなかった模様)。
「どうして女性がぱんつなんて穿いているのですかっ!?」
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