2-3 比較分析の結果(自力:シナリオ)

◆考察

シナリオを書いてから、それを小説に変換する方法で文章を作成した場合、何が大きく変化したかを分析結果より考察しました。

また、その時に感じたことも併せて記載しておきます。

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項目      自力   シナリオ作法

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総文字数    3808     4338

地の文:台詞  1751:2057  2390:1948

終助詞     19:31    3:26

連用中止法   1:1     15:1

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◆まず、総文字数。これは明らかにシナリオ作法の方がドンドン沢山書けます。

 書いてて驚くほどでした。

 感じたままをいいますと……

●プロットをもとに文章を書くとき私は、場面転換や、地の文の描写、セリフなどを同時進行で造り出しながら、書いている感じです。


 これを、シナリオで書こうとすると……

●場面は『柱』として

 〇遊覧船のラウンジ(15時ごろ)

 という風に一行で場面の設定が完了します。

●地の文の人物の動作は『ト書き』になります。

●脳内の声はN(モノローグ)で書けます。

●セリフ。登場人物名が明示されているので、前後の関係や、セリフの中の言い回しで誰のセリフかという事を表現せずに済んでしまいます。

●人称を意識せずに俯瞰的なカメラワークで場面を捉えることができます。

(これは両刃の刃で、後に小説に変換する時に人称の表現を揃えるためにいろいろ書き換える必要も出てきます。人称揃えるの難しいです。主人公の感情を表したいので一人称で書く方が楽なんですけど、ついついモノローグ風に俯瞰した目から見た情景を書いてしまうのです。ううん、これってどうなんでしょうか。)


 上記のようにとても場面がわかりやすいので、細かな表現を考える前にドンドン話しの展開が進んでいきます。

 私は、やってみて目が回るような感覚さえ覚えました。

 たとえて言いますと、シナリオを書いていると物語の場面が映像となって目の前に展開していくような感覚です。

 その映像を追って、必死にセリフを書き留めていくと、あっという間に一話分のシナリオが描きあがってしまった。というのが一番ピッタリくるところかもしれません。

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◆地の文とセリフの文字数が逆転しました。

 もちろんシナリオ作法のほうが、セリフの文字数が多いです。

(※サンプルで使用した14話に関しては、実はセリフの方が多いです。地の文とセリフ文の割合に関しては、1話〜14話の平均値で比べました。文章を書きなれていないことが原因だと思われますが、文体が揃わず正確な比較ができなくてすみません)


●これをどうとらえるか。

 私は本当は地の文が多い方が、個人的に好みなのかもしれません。

 例えば、源氏物語とか川端康成とかのどちらかというと完全に伝統的な日本の、抒情的な文章のようなものが、きっと好きなのだと思います。書いてて楽しいのだからしょうがないです。

 ぽえむ? とは考えたくないので考えません。えへへ。


●シナリオ作法では、会話文でどんどん話が進むので、地の文が中々出てきません。

 おまけに書きやすいものだから、総文字数がドンドン多くなるので形容詞で遊べません。ここのところは、ちょっと不本意な出来になってしまいました。

(ただしライトなノベルを書くということならば、セリフ中心で書いた方がテンポが良くなって、読みやすくなるのかもしれません。地の文を多くしたい、というのはあくまでも私の好みの問題で一般的なことではありません)


●地の文は、元となっているト書きを文章に変換していくので、うっかりすると説明調になってしまう感じがします。

分析ツールの総評にハッキリ出てきました。


『若干説明寄り・要約寄りな文章展開』


うわああ。見抜かれてしまっています。

怖いですね。これは変換ミスです。シナリオで書く時は、変換時に一番、力と時間と情熱をかけるべきなのかもしれません。今後の課題といたします。



●これに対する対策としては、参考書とさせていただいている『まずシナリオを書いてから小説に変換するとだいたい分量が倍になるので原稿枚数が予測しやすい件』を読んでみると、以下のようなヒントが示されていました。

 とくに『【3】小説変換してみたら……!』の項には、シナリオ変換法の貴重なコツが惜しみなく披露されているので、必見だと思います。


第3話

【3】小説変換してみたら……!

の中に、『すべての台詞を小説に移植するのではなく、一部を地の文にまわすといった工夫もまた、小説に「らしさ」をプラスしてくれます。』-『』内は引用


ここのところが今後の課題だと思われます。

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◆最後に書きますが、これが、もしかしたら一番大きな違いかもしれません。

 場面の動きです。真逆の結果が表れました。

 1話~14話まで通して、シナリオを使わずに書いた文章には全て『動きの描写に比べ、物事を形容する言葉がかなり多い。』という総評がついていました。それがシナリオ変換法で逆転したのです。

 もしかしたら、場面を急展開させたいときや、アクションシーンの回などには特に、シナリオ変換法を取り入れると、効果的な結果が得られるのではないかと思っています。

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【自力】

動きの描写に比べ、物事を形容する言葉がかなり多い。

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【シナリオ】

物事を形容する言葉より、動きの描写が多い。

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◆まとめ

 

 ●シナリオは映画を見てる感じで書きやすい

 ●早く書けて、沢山書ける

 ●セリフが多くなりがち

 ●地の文が少なくなりがち

 ●シナリオは動きのある文章が書きやすい

 ●シナリオを小説に変換するときが勝負

 ●ト書きやモノローグ、人物のセリフ等を地の文の情景に置きかえることで文章に厚みも出れば個性も出せるはず(目標デス)


↑と、こんな感じでまとめてみました。

次のページに、実際に15話目の小説を書くために、作成した『シナリオ』を貼ります。もしよかったら、小説になった方と見比べてみてください。

人称を揃えるところと、場面の柱とト書きを地の文に変換するところ等を頑張ってみました。

実は、まだ、変換がちょっと不本意なところも残っています。もう少し、セリフを地の文として情緒的に表現してみてもよかったかもしれないと思っています。今後の課題といたします。

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◆以下に、分析ツールの結果をコピーしたものをそのまま掲載しておきます。

 上記の考察の元となったデータです。

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文体診断λόγων(ろごーん)文章評価

【自力(14話目)】

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評価項目     評価とコメント

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1 文章の読みやすさ   C適切

2 文章の硬さ      B文章がやや硬い

3 文章の表現力     Aとても表現力豊か

4 文章の個性      Aとても個性的

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文体診断λόγων(ろごーん)文章評価

【シナリオ作法(15話目)】

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評価項目     評価とコメント

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1 文章の読みやすさ  B読みやすい

2 文章の硬さ     C文章がやや硬い

3 文章の表現力   Aとても表現力豊か

4 文章の個性    B個性的

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【小説形態素解析CGIによる分析結果】

◎総評の比較

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【自力(14話目)】

会話文主体の文体のようです。

かな:漢字の比率は読みやすい範囲と思われる。

1つ1つの文章の長さは平均的です。

読みやすいと思います。

地の文にやや口語が混ぜてあるようです。

文章がうまく修飾されています。

具体的には副詞の比率が平均よりやや上です。

指示語がやや多めに使われているようです。

接続詞が少なめです。

文章運びはテンポ・感性重視のようです。

体言止めはほとんど使われていません。

連用中止法の使用頻度は平均の範囲内です。

自立語における名詞の比率は平均の範囲内。

名詞比率は文章が説明的・要約的かどうかに関係。

動きの描写に比べ、物事を形容する言葉がかなり多い。

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【シナリオ作法(15話目)】

やや会話文が多めの文体となっています。

かな:漢字の比率は読みやすい範囲と思われる。

1つ1つの文章の長さは平均よりやや短め。

テンポがいいぶん読みやすいと思います。

文体やテンポにもよりますが、

平均と比べだいぶ副詞が少ないようです。

指示語によって文章がうまく流れています。

接続詞が少なめです。

文章運びはテンポ・感性重視のようです。

ところどころに体言止めが使われています。

連用中止法が平均より多めに使われています。

若干説明寄り・要約寄りな文章展開。

具体的には、自立語における名詞の比率がやや高い。

物事を形容する言葉より、動きの描写が多い。

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◎基礎情報↓

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項目      自力   シナリオ作法

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総文字数    3808     4338

行数      109     179

原稿用紙枚数  12      15

地の文:台詞   45:54    55:44

かな:カナ:漢字  56:6:26   55:5:27

/地の文:台詞  1751:2057  2390:1948

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◎形態素解析(分析結果)↓

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    地の文:台詞   地の文:台詞

項目    自力    シナリオ作法

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終助詞      19:31   3:26

体言止め/呼掛   5:8     6:10

連用中止法    1:1    15:1

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