とある事件と関連がないとされていること
ここまでが現在までの『とある事件』の事実関係である。
筆者は現在『とある事件』に対して、ある一つの推理に到達している。
この推理を公表することは筆者にとって非常に危険な行為だと思われるが、故人であるシックス・ファイブオーツー氏の意思を継ぎ、亡くなったモンデリーズたちを追悼し、そして今まさに殺されようとしている候補者たちを守るため、そしてアメリカ合衆国憲法で保障される自由を尊ぶいちアメリカ国民として恥ずかしくないよう、ジャーナリストとしての使命を全うしたいと思う。
しかし読者が私と同じ一つの推理に到達するためには、一般にはこの一連の連続殺人事件とは関連しないとされている事実をここで提示しておかないと、やはりフェアではないだろう。
いわゆる推理小説でいう、Whydunit(なぜやったか)というやつを、ここで提示するいくつかの事実を含めて考えていただきたい。
ここまで記事を読んでいただいた読者へ送るささやかなプレゼントだ。
いわゆる、私との知恵比べゲーム、というやつだな。
もちろん、私よりも明晰な人物がより深い推理をしていただくというのは、大歓迎である。
これは知恵比べゲームなのだから、私の推理を完膚なきまでに破って、真相までたどり着いて欲しいものである。
ぜひ、読者方にはこのミステリを解いて、全米各地で起きている選挙戦の闇を取り除いて欲しい。
もしかしたら、私にはもう時間は残されていないかもしれないからだ。
いや、まあそれはいい。
では、淡々と事実を公表させていただきたい。
【事実A】
まず、選挙管理員会が行った大手メディアNCNCでのビーチサイド候補への応援活動についての、ビーチサイド候補の反応を紹介したい。
ビーチサイド候補は自身の支持者集会で次のようなことをつぶやいたとされる。
まず、自身は一候補者にすぎないこと。
NCNCでの応援によって選挙管理員会を買収した疑惑が出ているのでやめさせるよう、選挙管理員会に連絡したこと。
現在共和党公認でSan Francisco市長選に出馬中なのにもかかわらず、「次回の出馬のこともあるので"共和党以外"の政党の連絡も待ってます」と嘯く。
その直後席を外し、しばらくして戻ってきた後、満面の笑みで「どうやら選挙管理委員会は私の支持者集会を見ているようだ。話が早くて助かる」と呟く。
時を同じくして、選挙管理委員会がSan Francisco市長選の投票率を上げるための運動の一環として、大手メディアNCNCとの協力体制を敷いたと宣言。
話題の候補者が、ピックアップされたと主張。
支持者集会にてビーチサイド候補は「選挙管理委員会は反省して特定の候補者を応援することはもう無いようだよ」と笑う。
また支持者集会の日に、支持率で猛追していたモンデリーズ候補が、ビーチサイド候補と同様に共和党公認で出馬していた石油王のショート候補の支持率を抜いたことがニュースとなっていた。
これに対しビーチサイド候補は自身の支持者集会で、San Francisco市長選はあまりに酷いからショート候補は他の市長選に再出馬することになったよ、と発言。
事実、ショート候補は翌日に他の市長選で初登場支持率1位を獲得している。
【事実B】
モンデリーズの屍体が海に上がった日、ダラスラブフィールド空港にて一人のダラス市長選の候補者、ゲットヒップ氏もまた亡くなっている。
彼は『美しい』という公約とも『モンデリーズ』という名前とも全くの無関係であるため、一連の事件として注目されていなかったのである。
ゲットヒップ氏はHIPHOPの達人であり、公約はライム(韻)を混ぜた特徴的なものであった。
その公約の文字数は200文字前後であり、非常に短いものであった。
【事実C】
サンディエゴオールドタウン市長選で、圧倒的な支持率で独走している候補がいる。
名前は、エクスタシー・ワンレスト。
公約はひたすら「Oh, I'm comming, I'll come. Oh yes... Come cooome!!」というような内容で埋め尽くされており、潔癖な人なら顔を背けたくなるような卑猥な内容となっている。
【事実D】
選挙管理委員会の犯行予告声明に関する公表と前後して、リーマン・R・ドミネイト候補の家に怪文章が届いた。
リーマン・R・ドミネイト候補のご厚意により、その原文のコピーをいただいたのでここで公表させていただく。
「全米からのリーマン・R・ドミネイトへの不満が聞こえていないのか。別の候補者の名前や公約を模倣する行為は、選挙戦を冒涜する迷惑かつ不愉快極まりない行為だ。これは警告だ、断罪のときは近い」
【事実E】
選挙管理委員会はSan Francisco市民の税金によって賄われている。
市長の公約の内容次第で税収は大きく変わる。
現在の選挙管理委員会は共和党が主体となって運営されている。
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