ゲーム魔法が使えるよ?
@samiyusann
1.質問《スタート》
一律の流れに現れる無限の可能性よ、
我の示したる力に従い起動せよ。
”スタート”
- - - - -
私は桐野 五十鈴、17になる花の女子高生だよ。
収集癖が有ると言いますか、凝り性と言いますか、なんか昔からはまった物を集める癖が有ったんだよね。
初めは、プルトップって知ってる?空き缶のタブの事。
あれを集めてたね。
結構会社とか商品によって違いが多くて集めるのが楽しかったんだ。
小学生の3~5年生くらいだったと思うよ。
その後も、ガチャガチャのフィギュアとか、季節の押し花とか。
何かにはまっては集めてた。
今は、ゲームに夢中。
と言っても、別にゲーム自体を集めてるわけじゃ無いんだ。
今やってるゲームがミリオンスペルって言うものでね、人気はそんなにないゲームなんだけど、とにかく魔法の種類が多いんだ。
攻略とか見てても、全部埋めれてるサイトはまず無いし、開発陣も何の魔法が有ったか多すぎて管理できてないとか言っていた。
で、そこで自分の収集癖が出てしまった訳。
中学の3年で始めて、今でもやり続けてる。
今現在の収集率はわかんないけど、すんごい沢山の魔法を見つけたと思う。
勿論全部使える。
それで、今もやってるんだけど、始めて見るクエストを見つけたんだ。
「おお!こんなとこにNPC居なかったはずなのに!何かの魔法を手に入れて無いといけないのかな?」
独り言は結構多い方だと思うよ、われながら。
でも、こんな変わった子に話しかけてくる変人も私の学校にはいなくて基本ぼっちだから仕方ないね。
「なんだこれ?『全ての魔法を覚えんとする者よ、その先に何を見る?』だって。」
これは、選択肢が無いんだけど、聞かれてるよね。
選択肢が無いってことは、時間がたてば何かあるとか、先に何か条件を満たす必要が有るのかな?
うーん、流石に単純には魔法をくれないかー。
「分からん、ちょっと休憩!」
今日のおやつはコンビニで買ったアーモンドフロランタン。
このお菓子考えた奴は教科書に名前を載せるべきだと思う。
寝っ転がってフロランタンをかじっていると、何となく今まで見ていた画面が見える。
”その先”か。
私は、この魔法を集めてどうしたいんだろう?
そう言えば、あのプルタブってどうしたんだっけ?
確か、集めに集めたプルタブを一気に使ったような。
使う?
ああ、そうだ。
確か、プルタブを集めるとベルマークみたいに学校の備品が買えるんだっけ?
それで、皆が欲しがってたピアノを購入したんだ。
ガチャガチャのフィギュアは、皆に卒業のプレゼントにしたっけなー。
集めてたのが食べ物シリーズだったから、微妙な顔されたけど、なんだかんだ皆笑い返してくれたっけ?
季節の押し花は、栞になったかな。
そんでやっぱり、クラスの皆にあげたんだ。
読書会みたいなのが有ったから、ちょうど良くて喜んでもらえただよね。
なんだ、皆の気を引きたいだけじゃないか。
私ってそんな奴だったのか。
小学校も中学校も友達なんて出来なかったくせに。
あれ?でも、プレゼントの後は皆話しかけてくれてたっけな。
友達だから渡したわけじゃ無いんだ。
「そっか、友達が欲しかったんだ。」
そっからは良く覚えて無い。
多分寝るような感じで、その辺りから記憶が凄く曖昧になってるんだよね。
これが、桐野 五十鈴としての最後の記憶。
特に親友と呼べる友達も居なく、何の山場も無い人生を過ごしてきた、私の記憶。
多分、この記憶は今後誰にも言うこと無く墓場まで持って行くことになると思う。
皆には知っておいて欲しかったんだ。
私が私でいられる証明が出来ないから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます