仲直り
【妻のターン】
嵐の櫻井君の……サイン入りコップ?
「もう、信じられないでしょう!? アレだけ私が気に入ってるの知ってて」
い、いや不可抗力なら仕方ないのでは……なんてことは言えない。
「……ちなみにどんなシチュエーションで?」
「夕御飯おわって、お父さんが洗い物してて……『手が滑った』って、絶対にワザとよアレは」
「そ、そうですか」
結論から言うと、絶対にワザとではない。
しかし、こんな時は下手に諭したりしないのが大事だ。感情的になっている女には、なにを言ったって無駄なのに、下手に諭そうとするから大抵の男はバカを見る。
「ババァ――――! てめぇ、そんなことで怒ってたのか! 親父全然悪くないじゃねーかー!?」
あっ……バカ(夫)が帰ってきた。
「あんた―――――――――! 生みの親にババアとは何事か―――――――!」
お義母さん……気合入ってるな。
「親父だって、仕事で疲れた中頑張って――「あんたを産んだ時に私がどれだけお腹を痛めたかわかってんの!? スイカよスイカ! お産って鼻からスイカを出すようなもんなのよ!? あんた、それわかってんの!?」
「ば、バカ今はそんな話じゃなくて――「だいたい! あんた幼稚園から大学生まで親に金払って貰っておいて、ババア呼ばわり!? あんたの血は何色だ―――――!? 言ってみろ、あんたの血は、何色だ――――――!?」
……キレてるな、お義母さん。
「い、いや悪かったよババア呼ばわりして――「あー、育て方をあやまった。育て方をあやまってしまった。これも、お父さんのしつけが足りないから。そう、全部お父さんが悪いのね。やっぱり、離婚した方がいいのね」
……最終的にはその結論に辿りつくか。
「い、いや俺はそんなことは――「離婚よ離婚! こんな恩知らずで薄情で、血液が緑色のモンスター息子を育ててしまったが故の離婚! 凜さん、本当に申し訳ありません」
ガバッと、お義母さんが私に謝る。
「い、いえ……まあ、慣れてますから」
「き、貴様……」
「お義母さん、修ちゃんは私がキチンと調教してみせますから!」
「ううっ……里佳さん……頼もしいわ! 妻の鏡だわ!」
ガシッ! っとガッツリ手を握る。
「――じゃねえよ! お前らどういうつもりだ!?」
調教に不満の夫が声をあげる。
「そんなことより、修ちゃん。ちょっと、こっち集合」
そう言って、お義母さんの声が聞こえないところに2人して密談。
「なんだよ? 言っとくが、アレは完全に親父悪くないぞ」
「んー……私の結論から言っていい?」
「結論?」
「多分……お義父さんが悪い」
・・・
「え゛っ!?」
夫の低い声が、リビングに、響いた。
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