Lecture12:漢数字の豆知識

 「会計」「登記」「戸籍」などでは、縦書きにした場合、一、二、三、十の漢字が書き換えられてしまったりしないように、つまり、 改竄かいざんされないように漢数字の 大字だいじと呼ばれる「壱、弐、参、拾」の文字を使うと定められています。


 改竄という観点から見た場合、例えば「一」に縦の棒「|」を加えると「十」になってしまいます。また、「十」は「廿」や「卅・丗」などに書き換えることができてしまいます。

 これを防ぐために「一」は「壱」、「二」は「弐」、「三」は「参」、「十」は「拾」と書くことにしている訳です。これで改竄は出来なくなります。


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―― 漢数字と大字の一覧 ――

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【数】漢数字:大字。

       備考

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【0】〇:大字は『零』。

     他の意味は「おちる」


【1】一:古字は『弌』、大字は『壱/壹』。

     大字の他の意味は「もっぱら」


【2】二:古字は『弍』、大字は『弐/貳』。

     大字の他の意味は「そむく、うたがう、添う」


【3】三:古字は『弎』、大字は『参/參』。

     大字の他の意味は「まいる」


【4】四:大字は『肆』。

     他の意味は「ほしいまま」


【5】五:大字は『伍』。

     他の意味は「くみ、隊列」


【6】六:大字は『陸』。

     他の意味は「陸地」


【7】七:大字は『柒』、質。

     柒は「漆」の俗字


【8】八:大字は『捌』。

     他の意味は「さばく」


【9】九:大字は『玖』。

     他の意味は「黒色の美しい石」


【10】十:大字は『拾』。

     他の意味は「ひろう」


【20】廿(卄):『弐拾』と書く。


【30】卅(丗):『参拾』と書く。


【40】卌:『四拾』と書く。


【100】百:大字は『佰(百人の長)』、『陌(みち)』。


【200】皕 :『二百』。


【1,000】千:大字は『仟(千人の長)』、『阡(みち)』


【10,000】万:大字は『萬(元は、虫の名)』。今では萬は万の旧字体


そのあとの数字の桁は、

おく』、『ちょう』、『けい』、『がい』、『𥝱じょ』、『じょう』、『こう』、『かん』、『せい』、

さい』、『ごく』、『恒河沙ごうがしゃ』、『阿僧祇あそうぎ』、『那由他なゆた』、『不可思議ふかしき』、

無量大数むりょうたいすう

と続く。


反対に『1』より小さい数は、

0.1から10分の1ごとに、

』、『りん』、『もう』、『』、『こつ』、『』、『せん』、『しゃ』、

じん』、『あい』、『びょう』、『ばく』、『模糊もこ』、『逡巡しゅんじゅん』、『須臾しゅゆ』、『瞬息しゅんそく』、『弾指だんし』、『刹那せつな』、『六徳りっとく』、『きょ』、『くう』、『せい』『じょう』、『阿頼耶あらや』、

阿摩羅あまら』、『涅槃寂靜ねはんじゃくじょう

となる。


※大字(だいじ)は、単純な字形の漢数字の代わりに用いる漢字であり、他の漢数字や片仮名との混同、改竄による詐欺を防ぐため、法的な文書(例えば戸籍や会計、領収書や登記など)で用いられる。



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――「壱・弐・参・拾」の使用を定めた法律 ――

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1.公証人法

第三十七条  公証人証書ヲ作成スルニハ普通平易ノ語ヲ用井字画ヲ明瞭ナラシムヘシ

○3 数量、年月日及番号ヲ記載スルニハ壱弐参拾ノ字ヲ用ウヘシ


2.大正十一年大蔵省令第四十三号(会計法規ニ基ク出納計算ノ数字及記載事項ノ訂正ニ関スル件)

第一条  会計法 規ニ基ク出納計算ニ関スル諸書類帳簿ニ記載スル金額其ノ他ノ数量ニシテ「一」、「二」、「三」、「十」、「廿」、「卅」ノ数字ハ「壱」、「弐」、「参」、「拾」、「弐拾」、「参拾」ノ字体ヲ用ユヘシ但横書ヲ為ストキハ「アラビア」数字ヲ用ユルコトヲ得


3.戸籍法施行規則

第三十一条

○2 年月日を記載するには、壱、弐、参、拾の文字を用いなければならない。


4.小切手振出等事務取扱規程 附則 (昭和四〇年四月一日大蔵省令第二〇号)

2 小切手の券面金額は、当分の間、所定の金額記載欄に、漢数字により表示することができる。この場合においては、「一」、「二」、「三」及び「十」の字体は、それぞれ「壱」、「弐」、「参」及び「拾」の漢字を用い、かつ、所定の金額記載欄の上方余白に当該金額記載欄に記載の金額と同額をアラビア数字で副記しなければならない。


5.供託規則

第六条

2 金銭その他の物の数量を記載するには、アラビア数字を用いなければならない。ただし、縦書をするときは、「壱、弐、参、拾」の文字を用いなければならない。


6.商業登記規則

第四十八条

2 金銭その他の物の数量、年月日及び番号を記載するには、「壱、弐、参、拾」の文字を用いなければならない。ただし、横書きをするときは、アラビヤ数字を用いることができる。


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