第9話 新たな仲間その2

俺たちは広大な草原の真ん中で座り込んでいた。時折くるそよ風が心地良く、それによりエリスの綺麗な翡翠色の髪がなびいている。


「で、とりあえず二匹そろったのはいいですけど、どうするのですか?」


「そうだな。」


「あともう一匹をどうするかだね。」


とりあえず三匹を揃えようと俺は開き直っていた。まだいないよりマシと思えば案外すぐになれた。今も頭の上にスラリンが乗っていて、俺はエッグラーの上に乗っている。


「凛さん達仲良くなるのはやすぎでしょ……。」


「『『そうだ(な)(ね)(やね)』』」


エリスが呆れ気味に言った。

そりゃ俺も最初は受け入れられなかったさ。でも、なんか懐かしさというか、なんかシンパシーを感じたんだ。スラリンとエッグラーもそれを感じたみたいで、普通に話していたらすぐに息が合った。


「そんなことよりあともう一匹どうするのさ。」


とマサトが聞いてきた。


「そんなこと言われてもなぁ……。こいつら二匹はFランクだろ?外の魔物捕まれるのか?」


「いけると思うよ。ここら辺の魔物はF〜Eの魔物がほとんどだし。」


「というより凛さん、この子達のステータス見ていないんですか?この子達既にレベルMAXですよ?」


「そうなの? ウィンドウ表示、ステータス。」


この世界ではレベルとステータスがあり、そのような情報はウィンドウと声に出すと、自分のモンスターのステータスやレベルを見ることができる。また、この世界のマップや魔物図鑑などもある非常に便利なシステムである。


「えっと……これか。」



・スラリン 名称 スライム スライム系 Fランク

レベル 20/20

HP:67

MP:65

ちから:52

みのまもり:49

素早さ:61

かしこさ:50

技:火の玉、ヒール、静電気


・エッグラー 名称 エネミークラブ 水系 Fランク

レベル 20/20

HP:78

MP:19

ちから:73

みのまもり:89

素早さ:35

かしこさ:24


技:身代わり、シザークロス


マサトがステータスを覗き込んで


「これなら野生のF〜Eランクの魔物ならふつうに戦えるよ。」


そうなのか。他の魔物のステータスを見たことないから自分では判断のしようがない。なのでとりあえずマサトの言うことを信じておこう。


「でも、技が少ないな。」


「そうですね……。スラリンは万能型、エッグラーは物理攻撃型なので、技の多い後衛型が欲しいですね。」


エリスもステータスを覗き込んで俺に勧めてくる。


「そうだな。とりあえず捕まえに行くか。」


「おーい!」


すると向こうから見るからに脳筋キャラが走ってきた。


「お主、失礼なこと考えておったじゃろ?」


「いやいや、いつ見てもメルトさんの筋肉は素晴らしいなと。」


「そうじゃろ、そうじゃろ。」


メルトが嬉しそうに筋肉を見せつけてくる。

チョロい。そんな風に考えていると、


「で、どうしたんだいメルト?」


とマサトがメルトに聞いた。


「そうじゃった!なあ、凛よ。お主あと一匹必要だったはずじゃな?」


「ええ、まあそうですけど……。」


「あの時の卵のことを覚えておるか?」


「あ、あの時の。」


確か、メルトに会ってからマサトのいる小屋にまで行く時に配合してた二匹の魔物の卵か。


「いつまで経っても引き取り人が現われんのだ。引き取ってもらえんかのう。」


「え?いいんですか?」


「いいんじゃいいんじゃ、引き取り人がいなくてずっと牧場におるよりも誰かに引き取ってもらったほうが魔物も幸せじゃろ。」



「それでもう孵化したのかい?」

マサトが割り込んでメルトに聞いた。


「ああ、おい、マキや。仲間になる人達に挨拶をしなさい。」


すると、メルトの後ろにいたらしく、メルトの足の横から出てきた。



ローブと杖をもった立った猫が


『よろしくね〜、あたいはマキ。魔法が得意だよ♪』


「やったじゃないですか、凛さん!」


エリスが俺の両肩をパンパン叩いてくる。


「ちょっとちょっと!とりあえず落ち着いて!」


「あ……ごめんなさい。///」


エリスは顔を真っ赤にしている。可愛い。


「で、どういう意味?」


「えっと、この子はさっき言っていた後衛型ですよ!」


「そうだね。特に攻撃系、回復系、補助系とバランスよく覚えるから今の凛くんのパーティーにはピッタリじゃないかな。」


「やったじゃん!」


来たんじゃね?やっぱり神は俺を見放さなかった!


「ちなみに、レベルはもう既に儂が上げておいた。」


そう言うと、隣にいたマキの手が少し震えていた。よほどマッスルなレベル上げをしたのだろう。


「こんだけみんながいい評価をしてるからかなり使えるんだな!」


俺が喜んでみんなに言いながらステータスを見た。


「そうですね。」

「そうだね。」

「そうじゃな。」


・マキ 名称 マジカルキャット 獣系 Fランク

レベル 20/20

HP:49

MP:91

ちから:32

みのまもり:41

素早さ:72

かしこさ:93


技:火の玉、水の玉、植物の玉、アグリティー(素早さアップ)、バイバイン(ちからアップ)、プロテクト(みのまもりアップ)、ヒール



「「「Fランク((ですけどね))(じゃけどな)」」」






神許すまじ





※ちなみにマキはすぐにスラリンとエッグラーと打ち解けて遊んでいました。

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