はじめてのいえで

「おおきなあめだまくちにいれ

 どこかとおくにいってしまおう」

黄色い鞄とピンクのパラソル

小さい足を一歩 また一歩


「えほんのなかにあるようなせかいが

 どこかであたしをまってるわ」

しばらく歩いて森の中

不安も恐怖もなんのその


「ずいぶんとおくまできたけれど

 なかなかどうしてないものね」

泣き始めたのは腹の虫

お菓子でお腹は膨れない


「このあめだまがなくなったら

 わたしはどうなるのかしら」

少しだけ不安になって

彼女は急いで森を出た


来た道の遠くから

泣きながら母が駆けてくる

母は彼女を抱きしめて

叱りもせずににこりと笑った


しんしんと雨が降る帰り道

二つの傘が 一歩また一歩

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