小休止

 思いつくことをひたすら書きつづって、真白だったノートを真黒に染めてみた。

 灰色の色鉛筆を転がして、白と黒の間から抜いてみた。

 全部簡単に変えられたらいいのに。それで終わればいいのに。

 どうして感情論が存在するのだろう。

 人間は複雑奇怪で面倒くさい生き物だ。

 もっと単純明快ではいけないのか。

 目的地まで歩かないといけないし、歩けば歩いたで遠いことを知る。

 走って、疲れたら地面に寝転がればいいのか。

 空に癒されて。雲を掴めれば。

 けれどどうやっても眩しい光は隠せない。

 伸ばして広げた手。それより遙かな先。

 ここにはないものを求めるのは、それほどまでに難しいものか。

 見えない場所まで向かうのは、無謀だというのか。

 形あるものを求めるだけではつまらないのに。


 どこまで行けばたどりつけるだろう。

 どこまでもいけばいい。

 終着駅はどこにあるのだろう。

 もしかしたらないのかもしれない。

 何もわからなくなって。立ちすくんで。

 しゃがんで。少しわかって。

 座ったら、歩いてきた猫と友達になれるような気がした。

 雑草が応援してくれているように見えた。


 遠い場所へ進むその前に、もう少しだけここにいようか。

 ほんのひと時、ひとやすみ。



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