「ウタ」

遠い遠いあの日の 君が口ずさんだ音

「コトバ」は霞んでも その音は鮮やかで

不明瞭な言葉なのに 旋律だけははっきりとして


無造作な足元 広げられた白黒の世界

溢れ出したのは 色とりどりの景色

夜の帳を背にしていても 尚も眩しかった笑顔で


「即興で」


弦を弾いて君の奏でた音は きらきらとちりばめられて

僅かに見える空の灯りにも ひけをとらない

終わることが悲しくて 勿体なくて、残念で

自慢げな顔をして 弾ききった君に

惜しみない拍手を送ろうか


形のない 「モノ」ですらない

遠いあの日の大切な

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