おまけ-何の臭い?
「円、一つ聞きたいんだけど」
「なんだ?」
「今来てるパーカーについてた変なにおいだけど……」
「うん」
「何の臭いだったの?」
「ああ、ビーストの体液だと思うよ?」
「え……?」
「ビーストの体液」
円の口から何気なく発せられた言葉に場が二人の合間が凍り付く。
「ひっ――ッ!?」
友里は身震いをして自分の両腕を抱いた。
「ん?」
「じゃ、じゃあ、なに? 円、そんなものを私に着せたの?」
「いや、でも寒そうだったし――何やってんの?」
すかさず友里は自分の体の臭いをかぎ始め、その後自分の生腕をスッと円に差し出す。
「ね、ねえ円? 臭い付いてる?」
「臭い付いてるって……友里、まさかお風呂入ってないのか? 昨日」
「は、入ったわよ! シャワーぐらい浴びたから!」
「じゃあ別に確かめる必要は――」
「でも、嗅いで!」
「いやでもさ――」
「ん!」
押し付けてきた。
仕方なく、円は友里の腕をとって鼻元を近づける。そして首を傾げる。
「普通にいい匂いするけどさ……」
「けど?」
「いや、するよ?」
「ホントに?」
と、友里はまた自分の腕の臭いを嗅ぐ。
「んん、私もう円の服着ない!」
(いつもは着たかったのか……)
その理由が分かって、円は自分のいない間に出来上がりつつあった友里の思わぬ一面を垣間見た気がした。
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