オ・ルヴォアール

愁檎

序章


宇宙は、生まれる星々を抱きしめて膨張し続けている。


その膨張の最果てが何なのか、何処なのか、その真実を生ける全ての者誰しもが知る由もない。


果てなき宇宙空間には様々な世界が広がり、様々な躍進を遂げて、そしてその躍進を知らぬ星々が、宇宙の膨張に比例するかの如く新たに誕生しているのだ。


宇宙の何処かに生きる『それ』は、膨張が終わり、世界が最果て迄埋まるのを恐れた。『それ』は厭に聡明で、聡明であるが故にその恐怖を日々抱えたのだ。


そして『それ』は、聡明な頭脳を持つが故に、世界をランダムに『間引く』システムを構築し、発動した。


随所で生命の光を撒き散らす小さな星々は、この果てなき空間の中では塵ほどの存在も無い。


これは、その塵ほどの存在も無いちっぽけな星に生きる、『それ』によってランダムに、偶然にも『間引き』に選ばれてしまった世界に生きる少年少女の、儚く、脆く、卑しく醜い心で濁った……けれども美しい、愛の物語である。

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オ・ルヴォアール 愁檎 @syuu-urei

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