第183回『少女、銀河を作る』→落選

「神のお告げじゃ、『幼女、銅川』を過ぎし『熟女、金海』に至らぬものを祀れば道は開けよう」

 オババの声が境内に木霊する。篝火に照らされる深く皺が刻まれた顔がこちらを向いた。

「お主ならできる。この村の運命は託したぞ」


「だってさ、どうする?」

「どうするって作るしかないだろ。じゃないと先に進めないぜ、このゲーム」

 友人と興じる『ガールズ&ギャラクシー』で最後の課題が提示された。謎解きが難しいこのゲームもゴールまであと一歩だ。

「共通する文字は女。あとは幼から熟へ、銅から金、川から海へと変化している」

「だな。銅と金の間は銀だろう」

「じゃあ、幼と熟の間は?」

「成、じゃないかな」

「川と海は?」

「潟? それよりも素材の方が心配だ」

「大抵のものは揃ってる。足りなくなったら狩りに行くしかないな」

 こうして俺たちは素材集めを完了した。

「神よ、作り給え『成女、銀潟』を!」

 しかし現れたドラゴンは素材を一瞥すると飛び去ってしまった。

「ダメか。何が悪かったんだ? 素材が足りなかったのか?」

「それとも謎解きが間違っていたとか」

「何でダメなんだよ! もうちょっとなのに……」

 今日も俺たちは試行錯誤を繰り返している。

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