第163回『ぺぺぺぺぺ』→落選
憧れの純白の大地が近づくと、氷上をぴょこぴょこと歩く黒い影が見えてきた。私は調査隊員に尋ねる。
「おおっ! あれはペンギン?」
「ですね。ペリングスハウゼン・ペンギンという種類です」
「ペリングス……?」
「あはははは。我々はぺペンギンって呼んでますよ」
ぺペンギンの群れをよく見ると、何匹か別の種類が混ざっていることに気が付いた。白い胸の羽毛の中心に、黄色い斑点が一つ輝いている。
「あのペンギン、可愛いな」
「ペニー・ペンダント・ペンギンですね。私も好きなんです」
我々に気付いたペンギンたち。遠くに見える高台を目指して駆け出した。
「あの高台は?」
「ああ、あれは半島です。ペンシルベニア・ペテルブルグ・ペントランド・ペニンシュラって言うんです」
なんだよ、その名前。未開の地に故郷の名前を付けるって、よくあるアレか?
「あそこには温泉が湧いておりまして、幾つかの国が半島を取り合った結果、そんな名前になっちゃったんです」
なに? こんなところに温泉が湧いているのか?
「しかも、あの半島にも固有種がいるんですよ。名前は……」
「わかった、ペペペペペンギンだろ?」
「いえ、ペペペペペリカンです」
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