第6話「俺と幼なじみと妹」
「絢!起きて!」
もう朝か。
榑亜が起こしてくれてるんだよな。
「榑亜?昨日は…」
目に映ったのは、綺麗な褐色をした髪をした美少女であった。
「え!?彩華!?」
「うん。そうだけど・・・。どうかした?」
夕暮れで橙になったこの教室の風景に俺は唖然あぜんとするしかなかった。
教室には俺と彩華2人きり。時計は6時をまわっていた。
「彩華?俺今までなにしてた?確か3時に下校だったはずだけど」
「すやすや寝てたよ」
彩華はふと笑みをこぼしながら言う。
「お前と一緒に帰らなかったっけ?」
「帰ってたら今ここにいないでしょ」
「俺って何時に寝たんだ?」
「えーっと…確か私が見たのが2時だから?2時前かな?」
俺なにしてんの。進級初日からこれとか。
てことは・・・榑亜の事も夢か。
やっぱりな。
あんなに可愛い子が俺なんかに興味持つわけないしな。
「ねえ?絢?榑亜ちゃんの事好き?」
俺は手と顔を激しく横に振り身体でも言葉でも否定した。
「いやいや…滅相もない!」
なんで俺はこんなに動揺するんだよ。本当に好きじゃないんだ。
「だって…榑亜ちゃんと話してて楽しそうだったし…」
「まじでそんなんじゃないからな!」
てか別に俺の事なんかどーでもいいだろ!
なんて言えないしな。
てことは?榑亜が俺にかっこいい?って言ったところは夢じゃないのか。
俺の家に二次元みたいな可愛い子がいるわけないしね。
もしかしたらと思いバックの中に手を入れて鍵を探した。
鍵はバックのいつも通りの場所に入っていた。
やはり夢オチだったらしい。
「ならいいんだけどね…一緒に帰ろ?」
「おう・・・帰ろうか」
俺たちは他に誰もいない教室をあとにした。
下駄箱で靴を履き替える時、なぜか榑亜の下駄箱を見てしまった。
何してるのかな?なんて考えてないからな!
「今日は疲れた。家帰って寝る」
「絢!さっきまで寝てたのによくねるね!」
睡眠時間なんて何時間でもいいんだ。
眠かったら寝る。眠くなかったら寝ない。って昔から決めて生きてるから。
「まあな。彩華は勉強か?」
「うん!大学に向けて頑張らないと!」
偉い!流石我が幼馴染よ!あっぱれ!
「俺はとりあえずお父さんみたいな仕事に就けるようになりたいな。仕事はストレスたまるらしいし支えてくれる人が欲しいかな」
そうそう。
俺のお父さんはアイディアマンとして、世界各地に飛び回っている。
お母さんはその仕事先で、出会ったアメリカの白人女性と結婚して俺たちが生まれた。というわけだ。
お母さんは中学、高校と日本にいたのでもちろん日本語はペラペラだ。
「うん…」
俺が言った直後彩華は顔を真っ赤にしながら答えた。
なにがそんなに恥ずかしいのか。
「今度勉強聞いていいか?俺の家来てさ?」
「うん!いいよ!予定確認してみるね」
早速彩華は手帳を取り出しスケジュールを確認する。
こんな可愛い子から勉強教えてもらえるとか最高だな。
「日曜日とかどうかな??」
「おう!じゃあそれで頼むわ」
こんな可愛い子(幼なじみ)に教えてもらえるのは嬉しい限りだ。
帰ったら早速散らかった部屋を片付けるとしよう。
そう考えているうちに自分の家が見える交差点まで来ていた。
「またね絢!」
「また明日な!」
いつも通りに手を振って俺達は別れた。
家の前に着き俺は日曜のことを思い出しながらにやけていた。
ドアを開けようとするとやはり鍵がしまっていた。
俺はバッグから鍵を取り出して、玄関のドアを開いた。
玄関には誰もいない。
靴は何足か置いてあるが、俺のださい靴と妹の靴だけだ。
やはりあれは夢らしい。
どことなく虚しい感じはするが、仕方ない。
俺には学園ラブコメなんて概念はないらしい。
俺はすぐに靴を脱ぎリビングに向かい大好きなコーラを冷蔵庫から取り出し500mlをわずか1分で飲み干した。
そう!俺はコーラが大好きすぎる男で。一時期は親に止められていた時もあった。
喉の渇きをコーラ様で潤したため、自分の部屋に向かおうとした。
すると階段の前に制服姿の犁兎がいた。
「お兄ちゃん!ご飯でも食べにいこ?」
「いきなりどうした?別にいいけどさ!」
「今日スーパーいくの忘れちゃってさ。明日からまた作るから!今日だけ!」
「二人で行くなんてデートみたいだな」
時間が止まったかのように顔を赤くして突然固まる犁兎。
何気無く言ってしまった言葉でこんなに動揺させるとは。
「え?そんなんじゃないでしょ!お兄ちゃんなに考えてるの!!」
「いや・・・そういうことじゃなくてだな・・・」
「もういい!そこらへんのごはんでもたべて!」
足音をわざと大きく立てながら二階にむかった。
俺って本当に悪いこと言ったかな?
なんも言ってない気がするのだが。
本当に女子はよくわからん。
俺は、食欲を満たすためにリビングの食べ物がある場所をくまなく探した。
すると担々麺があった。
すぐにタイガー電気ケトルを取り出し、水をいれて、お湯を沸かした。
2分後。
お湯が沸いたのを確認して担々麺の中にお湯を注ぎ込む。
3分後筋トレをスタートするも、腕立て5回でギブアップ。
5分後
担々麺が完成した。
俺は食欲を満たすためにかなりのスピードで箸を進ませた。
俺は猫舌だったがやはり食欲にはかなわなかったため2分もしないうちに食べ終えた。
よしっ食欲も満たされたとこだし、風呂でも入るか。
夢だと榑亜がいきなり入ってくるんだっけ。
まあどうせ正夢なんかあるわけないし来るわけもない。
俺はサッと音を立てながら服を脱ぎ俺は風呂場に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます