「灼熱地帯の朝。」

ここは地獄。

地獄の煮えたぎる豪火の中にある火山地帯にある街【ギルッシュム】だ。

冒険家たちは昨日、この街の民宿にたどり着き、今は朝が開ける頃だ。


-にしても、暑い。


「・・・・あー。」


頭がもうろうとする。

地獄と言っても昨日はちょうど氷山地帯を抜けたばっかりで、体が熱さに慣れていないのにこの状況だ。

まったく、仲間も悪魔族なんでこの環境が嬉しそうにしてたし、人間って不便だ・・・。


とにかく、

脱水症状を避けるために水を夜中に何度も汲みに行っては飲んでを繰り返していた。

冒険というのはこういう無限に変化する状況を越えていかなければいけないし、大体俺も初心者ではない。

寝るのも無理にでも取らないといけない環境もあったし、もうある程度は慣れだ。


ガタ。


横においてあった水の瓶を持ち、

容器の中身を一気に喉に流し込む。

何時間かぶりに喉を通る水分は、体を圧倒的に復活させた。


・・・うん?

仲間は、って?


俺は窓の外を見る。


「キャッホーイ♪」

「イエーイ♪」

「ハハハハ!」


そういえば忘れていた。

仲間は全員悪魔族なのだ。

今は外でマグマで水浴びならぬ溶岩浴びやマグマで波乗りや溶岩を投げつけあっている。


・・・・・・・・・・。



「ああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!」


メンバー構成間違った!

悪魔族だからやたらと俺が主人公なのに脇役クラスのステータスだし地獄にやたらと詳しいし、完全に地獄だからって人選誤った!


俺は全力で叫びながら、アイツらの見える窓に向かって水差しを投げつけた。

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