めんどくさい
めんどくさい
「今日のオレっていつもと違う気がしない。」
「気がしない。」
「いやいや違うっしょ、もう少しオレっちに興味もとうよ。」
正直めんどくさい。
「ほら、髪切ってるし。全然昨日までのオレとは違うし。」
2歳年下の彼は、正直めんどくさい。
「美容室の席に座った途端、眠くなっちゃってさ、気がついたら前髪バッサリだよ。ひどくね。」
「前髪切らないでください、と言わなかったお前が悪い。」
「お前だなんて、口悪いぃ、女の子は可愛くね。」
付き合い始めたころは、これがなんか可愛いなんて思ってしまった。
でも今では、正直めんどくさい。
私も大概めんどくさい女だと言われる。
重い女とも言われたことがある。
私はただ、愛情を一身に注ぎたいだけなのだ。
でも重くめんどくさいらしい。
今は少しだけその気持ちがわかる気がする。
「悪いけど、ほんとにめんどくさいんだけど。どうしてそんなにめんどくさいの。」
彼は黙ってしまった。
しまった、言い過ぎた。
私は私を傷つけた、あの元彼とおんなじだ。
そして彼は口を開いた。
「だって、オレがめんどくさい男だったら、キミがめんどくさい女なんて呼ばれたりしないだろ。」
そうか、知ってたんだ。
私のことを付き合う前から見てたんだ。
「ごめんね、私が悪かったよ。」
彼は笑っていた。
そしてめんどくさい男に戻っていた。
そう、めんどくさい男・・・正直めんどくさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます