第2話
夜、11時半に石原とゲストハウスを出た。ゴミの回収業者が集めに来るのは午前零時以降でその前に行かなくてはならない。それぐらいの時間だと人もほとんどおらず、あやしまれることもないだろうと考えた。
日本橋までは歩いて行った。日本橋はメインストリートに電化製品の専門店が立ち並び、隣の通りにはアニメの専門店やメイドカフェが多く立ち並び、その通りにある本屋を目指していた。
八月上旬で蒸し暑くすぐに汗が吹き出てきた。
『ゴミとか勝手に持って帰ったら違法じゃないんですか?
『捨ててあるもん持って帰っても文句言うやつおらんやろ。見つからんかったら大丈夫や。
『体調のほうはどうですか?
『最近やっとましになってきたわ
石原も和泉と同じく保険証を持っていなかった。
日本橋にまで歩いている途中、牛丼屋の前を通りすぎる時、歩道脇の植え込みの中に男が体育座りで座ってるのを見つけた。
男は坊主頭で服装は灰色のジャージを来ていて真夏なのに寒そうに震えていた。
石原が、あいつこの前も見たなと言った。
『前に見た時は植え込みの中でウンコしてたで』
情緒不安定な覚醒剤中毒者は西成近辺ではよく見かけた。西成では覚醒剤の売人が至る所にいるので比較的簡単に覚醒剤を買うことができた。
目的の本屋に行くのに日本橋の電気屋が多く並ぶメインストリートを歩いてるとゲームソフト販売店の前に捨ててあるゴミ袋を漁っている2人組を見つけた。
自分達と同じように売れるものをゴミの中から探しているのかもしれないと思い曲がり角の電柱の影に隠れ観察することにした。
2人組は店の前に置かれた4つの透明のポリ袋を開け中を物色している。中をかき分けて何かを探している。いろんなゴミがごちゃ混ぜに入ってるのでなかなか見つからないようだ。離れていて見えないが幾つかは見つけて持ってきたカバンに入れて去っていった。
売れそうなものだけを取り出して持ち帰っているようだった。
本屋のポリ袋ごと持ってかえる予定だったがあの2人組を参考にして売れそうなものだけ選らんで
持ち帰ることにした。
それから少し歩くと目的の本屋に着いた。
本屋の前には折りたたまれたダンボールと黒いポリ袋が置かれてかあた。ポリ袋の結ばれている部分をほどき中身を覗いて見た。中には基本的に燃えるゴミとして分別された紙類のゴミがあり、その中にアイドルのポスターや下敷き、本のしおり等があった。捨てられた物のわりには状態は良かった。
高く売れそうなものだけ持ち帰りたかったがどれが高く売れそうなのかわからなかったので、とりあえず一般的なゴミ以外で売れそうなものは全て持ち帰ることにした。
和泉は背負っていた米軍の払い下げ品のリュックの中に比較的小さいものを入れ、ポスターは丸めてて手で持って帰ることにした。
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