神居学園軍略戦記
創夢深大
序章
人生ハッキング!
みなさんはこんな噂を知っているだろうか?
あらゆるゲームに突然たった一人で現れ規格外のスコアを叩き出し。
大会にも一切参加せず誰とも組まず群れずただ独りで圧倒的なスコアで敵を圧倒するプレイヤーの名を。
ユーザー名が常に「0」の為ついた名前は「ゼロの死神」
こんなにも天才人間が人間界にとどまっているのは非常に勿体無い私は思う。
そして我々の世界に招待するためにさしあたってこう書くとしよう。
「ゼロの死神」よ誰とも群れず組まない君は
「青春」をどう考える?
朝、それは人々が始まりを告げる時間
大人は会社や仕事場への出勤そして学生は学校に通学する。
しかしこの部屋に朝からカーテンを閉めて独りでまるでどこかのアニメに出てくる司令部のような大量のモニターを目の前にしてすごい速さでコントローラーを動かしている青年は違う。
座ってる椅子の横脇には大量のカロリー○イトとヤマザ○パンの商品が積まれていた。
それは10夜連続徹夜の証だった。
もはやこれは青年と呼べるものではない。
むしろ真っ黒な目と血走っている眼光は「ゲーマー」という表現の方がしっくり来る。
このゲーマーこそが「ゼロの死神」だ。
座っている椅子の横にまるでゴミのように捨てられている制服には「
だが本人はそんな打ち捨てられた制服になど興味はなかった。
ただ独りゲームに入り浸りあらゆるゲームを手足に四つのコントローラーを持ち圧倒的な数値を叩き出していた。
こんなゲーマー剣士が実現したらワン○ースのゾ○など相手にならないだろう。
なぜならこちらは3刀流ならぬ4P流だ。
そう言っている内に零の前の四つの画面全てに「NEWhigh score!」
の文字が出てくる。
それが出てきた瞬間に零は椅子から崩れ落ちた。
たとえ天才ゲーマーとはいえあくまで人間だ。
コーヒーのカフェインを10パック分がぶ飲みしてももう目は開く気配はなかった。
「うおおおお・・・頑張れ・・・俺の体・・・大事な・・・イベントまで・・・粘るんだあ・・・」
零は薄れゆく意識の中でコントローラーを持ち親指を前に倒した。
画面の中の操作アイコンがゆっくりと動き出す。
だがアイコンはNEWgameの枠の少し手前で止まった。
零が力尽きたのだ。
目が覚めた零は一瞬自分が何をしているのかわからなかった。
明かりのついていない天井がやけに暗く見えた。
零は瞬時に思考回路を起動した。
まず自分の名前と自分がゲーマーであることは簡単に出てきた。
だがその先にきになるワードが思考回路に出てきた。
「イベント」
その四文字で零は全て理解した。
焦って時計を見た。
時計は既に三時を回っていた。
それを見た零は愕然とした。
イベントは十二時までだ。
「・・・マジかよ・・・」零はもう椅子に座る気にもならなかった。
一度気分を落とすと零はかなり凹むいわば豆腐メンタルなのだ。
そんな椅子の先の画面にメールの通知が来てた。
勿論こんな引きこもりゲーマーに友達などいるわけもない。
もっとも本人は全く気にしてないが、
零はなんとなくそのメールが気になった。
まだ眠い瞼をこすって零は画面の前に座ってマウスを動かした。
メールのアイコンをクリックすると差出人に「神の国の使者」と書かれていた。
「・・・なんだこの厨二病たまげたなぁ・・・」
零は独りでそう言いながらもう一度メールをクリックしてメッセージを見た。
「遊戯零いやゼロの死神よ君は青春をどう考える?」
零の目が鋭くなった。
「なんでこいつ俺の名前を・・・」
零はそう言いながら青春について考えた。
そしてすぐにパソコンのキーボードを打った。
零
"最近の自分たちの世界の学生は青春という言葉で全てをかたずける力を持っています。"
神の国の使者
"なるほど・・・それで?"
零
"それは非常に危険だと思う"
神の国の使者
"どうして?"
零
"高校生活と言うのは社会と言う理不尽でジャンルすら不明弱くても強くてもペナルティー。高校生活はそんな社会を生き残るためのいわば操作説明なんです"
神の国の使者
"うんうん"
零
"そんな操作説明を妨害しあらぬ方向へと差し向けるのが青春と言う全てをかたずける力だと思います"
ここまで打って零はパソコンから離れた。
もっともこれは「0」と言うもう一人の自分の意見だった。
零は今までもネットのグローバルチャットでこの意見を「0」として投げかけ続けた。
だがその先の返答は零は一切無視した。
それはそんな目先の疑問に囚われているようじゃ社会は生きていきえないと思っ
ていたからだった。
零のように社会と言う理不尽なゲームに参加せずその社会からかけ離れた存在であるネットゲームでプロになれる者などほんの一握りのすぎない。
だからこそ零はそういった一般人が「青春はなんだ」とか「恋ってなんだ」とかと疑問に思うことを苦々しく思っていた。
そういったことは定年で仕事を辞めて隠居してからゆっくり考えればいい。
高校生活はそんな事を考えている間に過ぎる。
だから社会でどう生き抜くかそれを考えている方がよほどいい。
零はベットに座った。
何気なく零はメールのうつるモニターを見た。
神様の使者からのメッセージは途絶えていなかった。
メッセージは神様使者の文字を映した。
零の眼光がまた鋭くなった。
神様の使者
"それなら
人間より一つ上の世界では
その理論は
通じると思う?"
零は少し興味を持った。
そして零もう一度椅子に座ってパソコンを打った。
零
"・・・それはその世界があればの話だと思います"
零は正論を言ったつもりだった。
しかし次の返信は零の目をさらに引いた。
神様の使者
"それなら確かめてみる?
人間とは一つ上の世界で
その青春論が
通じるかどうか
http://kaminokuni.spaceshower.jp/whiteash/"
零は最後のURLに目を当てた。
手はマウスを勝手に動かしていた。
そしてアイコンがそのURLの上に乗った。
「・・・試そうっていうのか・・・」
零は心中でそう言った。
自分は全く知らないURLだ。
もしかしたらウイルスプログラムの可能性もある。
しかしそれならそれでそのサーバをサーチして通報すればいい。
零にはそれぐらいの事は容易にできた。
それらのことも踏まえて零は
「乗ってみるのも一興か・・・」
と結論を出して
URLをクリックした。
まずパソコンとモニターが砂嵐に包まれた。
ハッキングだ。
「おいまじかよ・・・」
零はパソコンのキーボードを従来の速さの数十倍の速さでタイピングした。
しかしウイルスの流出源は特定できなかった。
零は必死にタイピングした。
「っ!くそ!」
零は諦めようとした。
その時画面から手が出てきた。
「う!?うわっ!」
零は驚いて椅子から転げ落ちた。
そして天井を見ると天井も砂嵐に包まれていた。
壁も床も全て砂嵐のノイズ音に包まれていた。
手が手招きをしてきた。
零は腰が抜けて動けなかった。
それと同時に自分の部屋が箱のようにゆっくりと倒れた。
零は倒れていく自分の部屋よりもその先にある景色を見ていた。
「やあ・・・青春を謳歌せぬ・・・天才、0の死神よ・・・神の住まう学園神居学園へようこそ」
零は校長室のような場所に腰が抜けた姿で床に座っていた。
目の前には社長が座るような椅子に座った。
いかにもカリスマ的な女性とその横には零と同年代ぐらいの制服をきた美しい少女がこちらを見て座っている。
理解不能なまま呆然としている零を尻目に女性が席に座ったまま話し出した。
「君は神に選ばれた人間だ。ここで新たな青春を謳歌するといい!」
零はこの女性の言っていることが理解できなかった。
神に選ばれたとか新たな青春とか全く理解不能だ。
零が思考回路を起動させている間に女性は隣の少女に零の案内を任せ勝手に立ち去ってしまった。
少女は一人呆然としている零に手を伸ばした。
「いつまでそこにいるんですか?貴方がここにきた経緯を寮に向かいながら説明しますので起き上がってください」
少女は毅然といった。
口こそ敬語だが零にはどこか人を見下すような節があるように感じた。
だが今は少女に従ってたほうがいいようだ。
ここにきた経緯を説明してくれるようだし
零はそう思い立ち上がって少女の後を追った。
少女は淡々と喋り始めた。
「ここは極楽浄土あるいは天国あるいは神の住まうところとあなた方が呼ぶ場所です」
校長室のようなところを出ると学校の廊下のようだった。
教室も掲示板もまだ真新しかった。
「ちょっと待ってください・・・ここ明らかに学園でしょ?なのに神の住まうところとか天国とか全く話が繋がってると思えないのですが・・・」
零は素朴な疑問を返した。
「これだから人間は・・・全く・・・低知能な生き物ですね・・・」
少女は歩きながら零を見下すように見た。
そして零の疑問に回答した。
「先ほど申したようにここは神の国あらゆる力を司る神様、天使、仏、が住んでいます。
そしてそれらの住まう者の教育に最適とされたのが人間界の高校生活です」
零は校舎の階段を降りた。
階段もまだ一切の汚れがなかった。
「しかし一つ問題があります」
校舎内の廊下は迷路のように長かった。
これじゃまるで国立大学だ。
零は思った。
「高校の教育を取り入れるのはいいですが高校教育というのは元々人間が作った制度なので私達は全く感知していなかったのです。
かといって神様が下界に降りるなどもってのほか、そこで高校の青春と言うしがらみに染まらずなおかつある程度の知識を持つ人が必要なのです」
零は外に出た。
そこに広がっていたのは、まさにSFにでてくるような近未来都市だった。
「・・・ここら辺でいいでしょう・・・」
零は呆然としていた。
空飛ぶ車、目の前に展開されるモニター、零が持っていた天国のイメージとはかけ離れすぎていた。
そして少女も目の前に水色の電子モニターを展開した。
次の瞬間零の視点は少女に当てられた。
スロー映像のように零の目の前で白い羽が舞った。
少女の背中から生えたそれが白いカーテンのように目の前でゆっくり動く。
零はその白いカーテンに包まれた。
その優しいカーテンの優しい抱擁に零は眠るように目を閉じた。
「いいのですか?あのような人間で?」
校長室らしき所に戻った先程の女性は制服姿の学園の生徒の質問を受けていた。
女性は口元に笑いを浮かべた。
「彼は生まれた時から青春を憎んでいるそうゆう"歪み"を持った人間だよ」
女性は一人で笑った。
「楽しむといい遊戯零、君の憎む"青春"を・・・ね・・・」
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