Section5 すぐに終わるから
「ほら、すぐに終わるから目を瞑ってて」
カオリはそう言いながら、僕の手を取った。
「なに?なにするの?」
目を閉じるだけで感じられる、不可思議な不安の中に僕はいて、そしてなぜだかほんの少しの期待感が混ざっている。
「いいから、ちょっと手を開いて」
カオリは僕の手をゆっくりと開く。その温もりを感じながら、僕はぴっと目を真っ直ぐに閉じたままでいたのだ。
どうしてこんなにもカオリの手は温かいのだろう。
そんなことを考えている内に、僕の手に何かを握らせたカオリが「目を開けていいよ」と言った。
僕はゆっくりと目を開け、自分の手をゆっくりと開く。
「そんなんじゃ恥ずかしいでしょ?」
カオリはそう言う。僕は自分の手のひらにあるヘンテコリンなキャラクターのキーホルダーを見ながら、自分の携帯に付けられた、キャラクター不在のひもだけが付いたそれを思い出していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます