絶望

@DT_jp_

1:技術が発展した近未来

「ねぇ、キミはこういうのが好きなんでしょ?」


艶やかな声と共に、背中を柔らかいおっぱいの感触でなぞられていく。


場所はお風呂。


湯気で視界が曇るが、俺の五感はフル活動していた。そして、声が出ないほどの快感に俺は身を投じていた。


「そ、そんなことないです……」


震える声で小さく返す。


「ほら、ここも大きくなっちゃってる……」


まるでたしめるかのような口調にゾクゾクしながら、俺は、背後から俺の下腹部向けて、まっすぐ伸びてくる白い手を見つめていた。


もうすぐ、もう少し。


そして、それが俺のイチモツに触れた途端――


『――ピピッ、充電が切れました。すみやかに電源に接続してください。』


瞬間、目に映る光景は崩れ、色を失っていく。


俺は顔に被っていたVR機器を取り外すと、小さくため息をいた。

ゴミ袋の散乱した部屋。

締め切った窓。

壊れかけた扇風機がからからと音を立てて、首を振っていた。

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