作者が自分で書いたにも関わらず、登場人物の言葉でスランプになった作品の一部
@uzimattyan
読むときは覚悟を決めてくださいね
注意。この作品は以前作者が自分の経験をもとにライトノベルを書いて新人賞受賞を目指すものでしたが、登場人物のある発言によってお蔵入り、そして作者をスランプに陥れた作品です。
怖い方はブラウザバックを推奨します。なお最後まで読んでいただいて、作者と同じようにスランプになっても責任は取れませんので、そちらを理解した上で読んでください。
*3月27日に、あとがきとスランプになった理由を書き忘れたことに気がつき、追記しました。大変失礼いたしました。
『主人公たちの活躍により、世界に平和の日々が訪れた。
しかしこれは序章にすぎない。
彼らにはこれからいくつもの困難が襲いかかるだろう。
今はほんの少しの休息が、彼らの安らぎとならんことを。
了』
「ふむふむ。なるほどなるほど。うん。没だね。これじゃあ運がよくて一次選考通過ってレベルだね。出版社によってはプロローグでもう除外されそうだね。それに、これじゃ売れるものじゃないよ」
姉さんはそう言うと、俺の作品を机に放り投げる。
原稿用紙に換算して二五一枚。新人賞の応募規定だと九二枚の作品を、完成するのに四ヶ月かかった作品を。
姉さんは三十分ほどで読み終えて終えてそんな感想を述べる。
「う、売れるか売れないじゃなく、作品の中の悪い部分を教えてくれよ」
俺としては評価に納得いかない。作るのに時間がかかったからといって絶対に面白いとは言えないけど、それでも俺の自信作だ。それだけで一蹴されるのは納得できない。
「はあ。あのね。私は担当している作家以外にも以外にも、新人賞の審査をしなきゃいけないのよ。だから身内でも本来アドバイスをしちゃいけないわけ。
でもあんたがすごく自信があるって言うから読んでみたけど、とりあえずよくあるないようだし、キャラクターもテンプレばかり。伏線はあるみたいだけど目立つしこの一巻目で回収しないで、いかにも先延ばししてますっていう感じが出てて読んでいるのが嫌になるわ。
文章表現表現や言葉の使い方が間違っているのはまあ見逃すけど、それでも内容が薄くて情景が目に浮かばないわね。
ゼロから書き直せとは言わないけど、あんたにしか出せない世界観がほしいわね。文章表現でも、内容でもね。
これじゃあ誰にも読んでもらえないわ」
「くっ・・・・・・」
姉さんに反論したい。一生懸命書いた小説をぼろくそ言われて、否定されて、けなされて。
でも、頭の中では姉さんの言う通りと理解している俺もいる。それを認められないのは、やはり俺の書いた作品に自信があったからだろう。
「理解できるけど、納得はできないって顔ね。まあ、気持ちはわかるから、丁寧に教えてあげるわ。
いい? 趣味で書くなら何を書こうと自由を。趣味ならこの作品は満点をあげる。どれだけエロくても、どれだけ黒くても、好きなことを好きなだけ書けばいいと思うわ。
でもね、新人賞に送るなら話が別よ。私はプロになる心構えを言わせてもらうわ。
まず、読者は本を一冊買うのに約六百円払うわね。しかもあんたのはラノベだから十代に絞るとするわね。今の小中高校生の一ヶ月のおこづかいは三千円くらいとして、その中から中から一冊を買うとなるとかなり大金になるわよね?
それに六百円って大金よ。人に必要な食料や水をたくさん買えるもの。あくまで本は嗜好品でしかないの。
例えば時給千円のアルバイトをしている人にとっては人にとって、およそ四十分働いた分のお金で買ってもらうのよ。あんたはそれに見合う価値のある物として、あんたはこの作品を自信もって誰かに勧めることができるの?
二時間かけてもらって読んでもらって、六百円払う価値があったって思ってもらえるわけなの?」
「そ、それは・・・・・・」
姉さんの眼差しは真剣だった。
その目を向けられ、俺は言葉につまる。自信があるだけじゃ、好きなものだけ書いてちゃダメなのか。
姉さんの言葉は俺の心をえぐるが、何一つ間違っていない。新人賞に送る俺の覚悟が足りなさすぎたのだ。
「それにね、本を一冊出すのに出すのにたくさん人が携わっているの。
作家はもちろん、それを売るものまで高める編集者とイラストレーター、完成した原稿を印刷する会社、出来上がった本を書店まで運ぶ運送屋、そして本を売る書店。多くの人のお給料にも関係してくるのよ。
それだけ背負ってでも世の中に出せる本だって言い切れるわけ?」
「・・・・・・ごめんなさい」
さらに言われ、俺はもう泣きそうだった。そこまで考えたことなんてない。
考えが甘かったっと痛感させられる。
「あ~。疲れた。まあ少し言い過ぎたけど、こっちも仕事だからね。最近いかにもぱぱっと書いて送ってみましたって作品が多くて疲れていたのよ。
まあこの前のやつよりまとまっていたし、頑張ったとおもうわ。たまにだったら読んであげるから、新人賞に送るならもっと商業的になる努力をしなさい。
自己満足じゃなく、他人が読んでも面白いものを書けるのがプロなのだからね」
「あ、ああ・・・・・・」
なんだかんだいっても姉さんは優しかった。
俺にそう励ましとアドバイスをくれると、『まったく、徹夜で眠いのに』と照れ隠しのようにぼやいてリビングから出ていった。
「・・・・・・はあ。辛いことを言われたけど、確かにその通りなんだよな。まずは意識を変えないと、自己満足とか趣味のレベルで終わるんだよな。六百円の重み、か・・・・・・」
姉さんからの貴重なアドバイスを受け止め、俺はもう一度自分の作品を読み直して構想を練り直すことにしたのだった。
あとがき
私はこの姉の言葉で、果たして自分の作品に価値はあるのだろうかと悩むようになってしまい、今でもスランプになってます。掲載している別の作品は、すごく昔に書いた作品を書いているだけですので大丈夫ですが、それでも皆様に時間をいただくほどのクオリティーにできてないのでないかと毎晩不安になる日々です。
ただカクヨム様の誰かが見てくれたという履歴は少し嬉しくなり、投稿を頑張ろうと奮起しております。
まだまだですが、暖かい目で見ていただけたらと思います。
作者が自分で書いたにも関わらず、登場人物の言葉でスランプになった作品の一部 @uzimattyan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます