バンパイア物語「書いたものにしか見えない世界がある。読んだものにしか見えない世界もある。」

ハギわら

ストーリー型エッセイ

第1話 吾輩はバンパイアである

吾輩はバンパイアである。名はある。

名は、アインツ・ベルグ・ボルグ・バレンシュタイン・サドガシマ・ケッコウ・イイトコロカモネ・リックドム・ビグザム・ガンダム14世である。


略して、アインツさんと呼ぶがいい。


吾輩は夜、目を覚ます。日が落ちるのと同時だ。

何故なら、太陽が苦手だからな。日の光を浴びると火傷する。

全身だ。

3度熱傷というものが3割を超えると死ぬらしい。


バンパイアが日に弱いというのは本当だ。

ただ、砂様に消えたりはしない。苦しみはする。


それは、全身火傷すれば、人は叫び苦しむ。当たり前だ。

日の光に弱いというのは、単なる、極度の、

太陽アレルギー症である。勘違いしてるやつも多いから言っておく。

これは病気の一種だ。けして、妖怪だから、悪魔だからといった類で光に弱いわけではない。


吾輩は人間である。バンパイアという勝手に名付けたやつに文句が言いたい。

だから、物語を書き始めた。これは吾輩が体験した、ほんの一部の物語だ。


吾輩は、その寒い雪の日、いつも通り目を覚ました。

「ふぁ~」


すると、蝙蝠が話しかけてきた。

「お目覚めですか?おぼっちゃん?」


この蝙蝠も名はある。

セバスチャン・ボルト・ボルグ・オガサワラショトウ・ハヒトハモウスメナイノ・ドウナノ・オシエテヨ・コタエテヨ・バーニー36世である。


略して、セバスチャンである。


話を戻そう。セバスチャンが話しかけてきたところに。

「目覚めた・・・日もなくなったな」

「旦那そいつはよかった!!」

「お前・・・さっき、おぼっちゃんといってなかったか?」

「いえ、気まぐれです」

「・・・」

「旦那っていつも呼んでるでしょ」

「そうだな」


バンパイアは、蝙蝠と話せる。確かにここは普通の人とは違うかもしれない。

ただ、無都合郎というやつも動物と話ができると聞いたことがある。

アイツの方が、吾輩より異常である。

それに比べれば、吾輩は正常だ。


吾輩は外の景色を屋敷から眺めながらつぶやいた。


「雪は嫌いだ・・・」

「旦那は寒いの、苦手ですからね」

「セバスチャンは、平気なのか?」

「普通は、11月中頃から、3月中下旬までは冬眠です」

「・・・お前は・・・なぜ平気なんだ?」

「蝙蝠の中でも強いほうですから!!あくまで、蝙蝠の中でね!!」


セバスチャンは、一応蝙蝠たちの取りまとめ役である。

リーダなのだから、強いのかもしれない。蝙蝠の中では・・・。


夜になり、黒いマントの中が赤いやつに袖を通す。これについては、後程説明しよう。

吾輩は外にでた。寒いのは大嫌いだが仕方がない。

食事をしなければ死んでしまう。人間だから。


吾輩は街にでて、明かりがついてる家を探す。そこには目的のものがある。

街に行くまでには坂道がある。これが結構堪える。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

「旦那頑張ってください!!もうちょっとで坂は終わりですよ!!」

「あいかわらずきつい!!この坂は!!」


斜度が40度近い。これを作ったやつにも文句が言いたい。

人の屋敷の前になんてものを作る。人間の限界を超えている。

心臓やぶりの坂道というものがあるが、これがまさにそれだ。

心臓がやぶれたら、責任は取って頂けるのだろうか?

責任者に問いただしたい。


吾輩は坂を上り、街を目指す。坂を超えてから少し歩く。

セバスチャンが話しかけてくる。

「旦那、やりましたね」

「当たり前だ、終わらない坂道などない。そんなものがあったら、天空につながってしまう。宇宙まで言ったら、無酸素で死んでしまう!!」

「さすが、旦那ですね・・・発想が極論すぎる・・・」


吾輩は心臓をやぶらず坂を上り切った。責任者への追及はまだできない。

破れてもできないかもしれないが・・・。


街には明かりがある。人工的な明かりであれば吾輩の太陽アレルギー症は大丈夫である。

あぁ、ありがたい。これを作ったエジソンというやつは天才だ。

尊敬に値する。「天才とは1%のひらめきと99%の努力である。」という名言を残している。

バフォリンにはなれないやつだ。優しさが1%も入っていない。

可哀そうな奴だ。だが、電気を作ってくれてありがとう。感謝する。


街まで歩いていると声が聞こえた。

「きゃぁーーーーーーーーーーーーー!!」


それは若い女性の悲鳴だった。吾輩はフェミニストだ。

すぐさまそこに駆けつけた。変な男がいた。

「貴様何をやっている!!」


そうだ。変態だ。なぜか、コート一枚で裸だ。

わいせつぶつちんれつざいである。変態が話しかけてきた、吾輩に。

「な、なんだ!!邪魔をするのか」

「貴様の股間が泣いている。そいつは、黄色の涙を流している!!」

「早くその涙を止めてあげろ!!」

「止まらないんだ・・・少し待ってくれ」


立ちションなど、するものではない。何故、コートの中が裸なのかはわからない。

きっと暑がりなのだろう。女性は走り去っていた。その男と話す。

「早く逃げた方がいい!!警察が来たら大変だ」

「すまねぇ!!コスプレのあんちゃん!!」


吾輩は一人の男の人生を救った。優しさは何パーセントかわからんが持っているらしい。

吾輩街を目指す。


≪つづく≫

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