浅上夜子の恣意的な日常
ユーアート
第1話 プロローグ
私を一般的に表すとすれば、高校2年生という言葉が適切ではないだろうか。
学力が特に秀でているという訳でもなく、特徴もない、目立たない女子である。ちなみに彼氏もいない。
うん。最後のは重要なポイントかもしれない。いるといないとでは、学校内での評価がだいぶ違うものだ。特に女子の間では。
あまり面白みのない人生。……でも私には少し他の人と違っている所がある。特性というか、何というか。私は私の周りの現象をより平均にする、世界的に考えて平均的にする特性を持っているかもしれない。
私がいる日本というこの場所ではあまり一般的ではないが、世界では結構当たり前の現象を見つけるというか。
もっと直接的に言うと私は死体をよく発見する。
道端で、海で、山で、空き家で。
私の移動する場所で、とにかく私がいる場所で。
よく人の死体を見つける。
ペースで言えば、だいたい週一くらいのペースで一人見つけている。
だから、今私の目の前にいるこの人も、それだ。
道路標識にロープを括り付けて、それで首を吊って死んでいる。
私のこの特性の他に、他の人と比べて変わっているとすれば……趣味だろう。
私は死体を見ていろいろ考えるのが趣味。もちろん、死体の写真ではなく、目の前のリアルなやつを見ていろいろ考えるのだ。
考えることに制限はない。
死因でもいいし。理由でもいいし。それが他殺死体っぽい場合は犯人でもいい。
ただ考えるだけ。
死体の前で。
それが浅上夜子の趣味なのです。
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