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小学校の頃の自分はサイキョーだった。乱暴者とはよく言われたが、暴力に屈したほうが、負けなのだ。
横取りして文句を言われても、殴ればすぐに解決する。自分が一番で、自分はいつもそうやって勝ってきた。中学校にあがってもそれは変わらない、欲しいものは脅して、そして逆らえば殴って、そうやって手に入れてきた。
弱気な人間は怒鳴ればすぐに屈したし、強気な人間も、殴れば自分の弱さに嘆いて屈服した。
もちろん、仕返しもあった。金持ちのクソヤローが、高校生を雇ったこともあったが、返り討ちにしてやった。しかも金持ちのクソヤローが今度は高校生にタカられて、自分はそれを嘲り笑って、けれども利用するために助けてやった。クソヤローはクソヤローなりに感謝して、自分の言いなりになった。
けど、同じ高校に進学しなかった。所詮、クソヤローはクソヤローで、平穏に過ごす術を理解していたのだろう。自分はそれだけは感心した。あとは総じてクソヤローだったけれど。
とはいえ、自分の高校ライフは一変した。乱暴者は受け入れられない。そんな風潮があった。暴力を振るえば周囲から哂われる。もっと陰湿でなければ、狡猾でなければ、校内掲示板で悪辣に書かれる。それこそ陰湿で狡猾だが、同じ手段でなければならない。暴力だけを振るっているだけでは勝てない。そんな雰囲気が高校にはあって、そんなシンプルな手段しか取れない自分はいつの間にか、おとなしくなるしかなかった。この屈辱が分かるか?
隙あらば、隙あらば、隙あらば、自分は呪いのようにそう唱えて、機会を窺っていた。
だから笑いが止まらない。
ようやく、ようやく、自分が報われる機会がやってきた。
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