ポイントを獲得する方法について
図らずも春山
第1話
はじめに、これから述べることはあくまで私の主観に過ぎないということを理解しておいてほしい。
『もっと評価されたい』、『感想やレビューが欲しい!』
あなたがネットで小説を書いているのであればこういった事は一度は思ったことがあるだろう。当然だ。自分が創り上げた作品が誰の目にもふれられない事を喜ぶ作家はいない。どうすれば自分の作品をより多くの人に見てもらい、感想やレビューをもらえるのだろうか。そのことについて頭を悩ませることがあるだろう。
やはり小説ならば文章力や表現の仕方、見やすさだろうか。それとも根本的な内容の部分だろうか。電子書籍という観点から読みやすくするための工夫を凝らすのか。
確かにそのどれもが一つの方法であることは間違いない。だが今、この時代で一番大切な事は『宣伝』なのだ。少しオーバーに言い換えると『幼稚園生が作るような小説だろうとより多くの宣伝をすれば読者がもらえる』ということなのだ。
批判するつもりはないのだが私はどうも納得できない。だがこれが抗えない現実なのだ。
このことは別に小説に限ったことではない。例えば無名の高校生バンドがつくった曲を人気歌手が原曲そのままで売り出したらどうなるだろうか。それは当然のように売れて、評価や感想などをもらうのではないだろうか。もし高校生がその曲を売り出していたとしても到底そこまで売れることはないだろう。
このように作品の評価は宣伝によるものが一番大きな影響を与えるのだ。分母が大きくなるに従い自ずと分子も増えるというわけだ。
近頃、私はTwitterというsnsをこの名義で始めてみた。するとどうだろう。幾人かをフォローしてみるとその内の一人から私宛にメッセージが届いた。その内容はおおよそこんなものであった。
『あなたの作品にポイントをつけるので私の作品にポイントを、そしてよかったら感想やレビューをください!』
私は唖然としてしまった。
確かにその方法はポイントが増えれば人の目に止まる可能性は増え、おまけに評価や感想などがつくので効率的であるとは言える。
だがその『評価』は果たして『本物の評価』と呼べるだろうか。規模こそ違うものの政治家が当選したいがために有権者に送る賄賂のそれと同じではないだろうか。
他にも『宣伝ツイートをリツイートしてくれた方の宣伝ツイートをリツイートします!』等の内容のツイートが流れてきたりもしていた。
我々に情があるならば「ポイントくれたから」「いい人だし……」などの理由で『偽善の評価』をつけてしまわないだろうか。
そもそも読みたい作品を探す時『○○で✖✖の様なものはないかな』などある程度の理想を持つものではないだろうか。そして見つけた作品を読み、その理想をベースに評価をつけ、それを受け取った作者がその意見を少なからず参考にするのが本来あるべき姿なのだ。
それがどうだ。読もうともしてなかった見ず知らずの作品を半ば強制的に読むことで出されたその評価は元来の評価よりもその作品を的確に捉えられているだろうか。
無論、例外もあるだろう。好きな作品には何かしらコメントしたくなるものだから。
何故こういった事が起きているのか私は考えた。そしてそれを一つの言葉にまとめるとすれば『数の増加が質の低下をもたらした』である。
現在このネットの中には数え切れない程もの作品が掲載されている。その数は今後も増えていくだろう。
そうした点から考察すると、作品の評価を求めるあまりその本質を見失ってしまうのもうなずけることである。
せっかく小説の構成を、ネタを、書き方を高めても読み手がいなければ意味がないのだ。ここまで多くなってくるとそうでもしなきゃ見てもらえないのだ。
トゲのある言い方をするならば、どれだけ多くの人に媚びを売ることが出来るか、それが作品の評価を高さを左右するのだ。
前にも言ったが私はこの事を批判したい訳ではない。全員が全員作品の質を捨ててるわけではないと理解しているし、それも一つの宣伝の形だと認識はしている。だが納得しているわけではない。繰り返すようになるがこれまで述べてきたことは私個人の主観であり、一つの意見である。これを読んだあなたが何を感じるのか、私にはわからない。共感してくださる方もいれば反論される方もいるだろう。なんにせよそれも一つの意見であり、この作品の『評価』でもあるのだ。
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