主な登場人物紹介 神人の船に乗る魔導士フランシスとその一味

 登場人物紹介の前に、以下の語句について説明します。


★神人(読み方:かみびと)

 レイナがいた元の世界でもなく、レイナが誘われたこの異世界でもなく、また別の異世界に住む人々のこと。

 神人の特性としては、美形、不老、翼もないのに鳥のように空を自由に飛び回れ、尾びれもないのに魚のように水の中を泳ぐことができること。だが、彼らは魔術を使えるわけではない。


★神人の船(読み方:かみびとのふね)

 フランシス一味のアジトとなっている空に浮かぶ船。

 59年前の「神人殺害事件」にて、殺された神人の骨を船の部品にとリサイクル(サミュエル談)して、作られた船。

 空で風を斬る音とともに、この船からは断末魔や無念の叫びが聞こえてくるであろう。

 今は、アダムの手元にある、ネイサンが乗っていた「神人の板」は、おそらくこの神人の船の一部をはがし、空中浮遊用に利用していたと思われる。



 そして、いよいよ神人の船の乗る者たちの紹介です。



●フランシス ※神人の力を手に入れている者

 見た目は30代ぐらいだが、その魂はおそらく100才超だと推測される。

 188cm。

 不老・空中浮遊の特性を持つ神人の力のほか、様々なオプションを手に入れている得体の知れない魔導士でありながら、おそらく作中の魔導士ランキングでは、これからも不動の1位であり続けるであろう人物。


 エメラルドグリーンの瞳、銀色の長い髪、聖職者のような白い白衣と、まるで神の化身、もしくは夢の中に住む者のようにすら思える美男。

 いつも余裕綽々と言った感じで、誰に対しても敬語で非常に丁寧に話すが、その話はかなり長い。誰も聞いてもいないことまでペラペラと喋っているが、時たま真っ当なことも言い、なかなかつかめない人物。


 詳細な出自については不明であるが、本人談では底辺に近い平民の生まれであり、芸だけでなく、時々”色”でも生計を立てていたそうだ。それに何よりも、フランシスは本来は魔導士としての力を持たずに生まれた者であり、一度剣で喉元を貫き死んでいるとも……

 そもそも、レイナもこの世界に呼び寄せられた一番最初に、魔導士たちに粛清された直後の彼の死体を目撃している。

 

 彼が第4章までに引き起こした数々の不気味な事象については、本編を参照してほしい。だが、これから先も、彼が悪しき者たちのなかでも、一際、妖しく恐ろしい存在であることは間違いない。



●サミュエル ※神人の力を手に入れている者

 第4章にて、やっと登場した人物。

 本名サミュエル・メイナード・ヘルキャット。


 実年齢は、アダムと同じ83才。だが、見た目は25才前後にしか見えない。おそらく、神人の力を手に入れた時(神人を殺し、その肉を食べた時)が25才ぐらいだったのだろう。

 

 身長は182cm。

 いかにもやわらかそうなアッシュベージュの髪、花の色のような紫色の瞳は、彼の清らかであり、なおかつ優し気な顔立ちを際立たせている。声は少し低い。

 間違いなく美男の部類に入る彼であるが、59年前の忌まわしき神人”殺人”事件の指名手配犯。


 彼自身、相当な自信家であり、その自信を裏付けする実力の持ち主。第4章にては、物語の尺をかなりとり、暴れ狂った。

 ヘレン、ネイサン、ローズマリーがフランシスの手下であるとするなら、彼はフランシスの同志、もしくは右腕のようなポジションである。


 ピーターに「炎の魔導士」とネーミングされた通り、炎の魔術を使っている。そのうえ、ブチ切れた彼は、まさにヤンキーのような直情的な憤怒を炎のごとく爆発させ、老人のアダムをその若い肉体でフルボッコにした。


※現在の彼は、アダムに足元をすくわれたがために、自身が作った妖しい薬を自身も吸い込んでしまい、神人の船にて熱にうなされている模様。

※なお、彼は熟女ごのみで特に人妻とのスリル溢れるアバンチュールを最も好んでいる、とのフランシス談も作中ではあった。



●ヘレン ※神人の力を手に入れた者

 見た目は8才~10才。133cm。

 ダークブロンドの髪は自然と内巻きになっており、その華奢な肉体を重たげなバイオレットのローブで覆い隠している、まごうことなき”少女”。

 小作りではあるも、整った顔立ちはしている。だが、無表情がデフォルトの彼女は、マリア王女に”不気味娘”と影で呼ばれている。


 生じた影より酸を放ち、対象人物の肌を焼け焦がそうとするなど、やや風変りな気の使い方をする魔導士。

 第4章のフランシスとの会話(フランシスが一方的に喋っていただけだが)によって判明したこと……彼女は神人の肉をフランシスやサミュエルたちから盗んだ小児性愛者の中年男に、無理やりその肉を食べさせられた。覚醒したヘレンはその中年男を殺したと……

 彼女は、自ら望んで、神人の力を手に入れたわけではない。

 ユーフェミア国の民と同じく、59年間もヘレンはその幼き肉体という牢獄に閉じ込められているのだ。



●ネイサン

 15才。175cm。

 彼は外見通りの魂年齢。

 ツンと尖った小生意気そうな鼻、金髪と赤毛が混じったような長髪を後ろで無造作に束ね、派手な原色系で個性的なデザインの服を身に着けている少年。

 同じ船に乗る武闘派レディ・ローズマリーとはなかなかいいコンビ。


 わずか15才の少年でいながら、パワー系の魔術を得意とし、面白がりというか、穏やかで着実な人生より激動にまみれた非凡であり刺激的な人生を彼は望んでいる。いわゆる刺激フェチに違いない。


 第4章においても、ルーク、ディラン、トレヴァー、そしてカールとダリオを馬鹿にし、彼らの神経を逆なでする言動が見られた。あろうことか、自国の王子であるジョセフすら、本人の前で”あれ”呼ばわりするなど、怖い者知らずにもほどがある。


 自身の魔導士としての力を強烈なまでに過信し、くすぶる情熱がいつもうずいている彼であるが、上司であるフランシスになかなか活躍(自分の力を試せる機会)の場を与えてもらえず、相当にフラストレーションがたまっている。



●ローズマリー

 24才。190cm。

 赤子の頭ほどの巨乳、赤みがかった艶のある長い髪をツインテールに結い、丸顔のなかのぱっちりとした瞳、やけに艶々とした唇の女性。だが、発達し鍛え上げた筋肉を持つ超長身の武闘派。

 「希望の光を運ぶ者たち」のなかでも、彼女より逞しい肉体をしているのは、トレヴァーぐらいである。マリア王女には影で「筋肉女」と呼ばれている。


 彼女の一人称は「私」であるも、男っぽい口調である。

 彼女は魔導士としての力は持ってはいないが、優れに優れた戦闘能力(生まれ持った戦闘能力も彼女が自分で努力し高め上げた戦闘能力も)だけをフランシスに買われ、彼らと行動をともにしている。


 だが、面倒見が良かったり、料理上手であることが判明するなど基本的には普通の人……? なのかもしれない。ネイサンとはまるで母と息子のようなコンビである。

 現在の彼女は、「希望の光を運ぶ者たち」のとあるガチムチの穏やかな青年に、心をときめかせている。



●オーガスト

 18才。181cm。

 くすんだ金髪と栗色の中間のような髪の色と、榛色と栗色の中間のような瞳の色。やや細身な体型と繊細な顔立ちで、線が細く、儚げな文学少年のような印象を周りに与える青年。


 平民であり、天才的な腕を持つ人形職人。

 マリアに身も心も奪われ、彼自身の命すら差し出すのではないかと思われるほどの狂信的な愛を、彼女に捧げ続けている。

 マリアも平民であるオーガストを非常に気に入っているため、超美形とは言わないまでもそこそこの顔立ちとベッドテク(そのテクを教え込んだのは経験豊富なマリアに違いないが)の持ち主であるのだろう。


 第2章にて、フランシスの逆鱗に触れたマリアの魂のひとかけらをかばい、フランシスに許しを乞う。そして、第4章においては、マリアと自分の存在が、フランシスやサミュエルの企みの添え物でしかないと知り、愕然とした後も、悪しきフランシスたちと行動をともにすることを選択した。

 マリアは、オーガストにとっては、まさに自分の半身――いいや、命以上の存在である。自分の命を神人の船の残したまま、市井に戻ることは彼にはできなかったのだ。

 神人の船に乗った彼は、破滅しか待っていない愛の海を本章でも進んでいく……



●マリア

※※以下は、「主な登場人物紹介 アドリアナ王国 王族ならびその関係者」の「マリア」の項と全て同文ですので読み飛ばしてもらって構いません。


 17才。168cm。

 アドリアナ王国 第一王女であり、ジョセフの妹。

 現在、レイナの魂が入っている肉体の本来の持ち主。


 波打つ金色の髪、白く透き通った肌、青く輝く瞳、まるで天使か妖精、あるいは女神か――生も死も、過去も未来も、善も悪も、彼女の前では何もかも意味をなさなくなるような絶世の美貌の持ち主。そのうえ、スタイルも良い。

 おそらく作中の女性キャラの美貌ランキングでは、これからも不動の1位であり続けるであろう人物。


 だが、傾国の美貌を誇る彼女の魂は、残虐で淫乱な悪魔のごときものであり、彼女が過去にしでかした罪によって”レイナ”が殺されそうになったことは一度や二度ではない。

 男性経験も多数あり、またその性癖も近親相姦好きの凌辱好きといった幾重にも歪んだものである描写も見られた。


 第2章にて、アンバーを殺害したことにより、フランシスの逆鱗にふれ、その魂をも八つ裂きにされた。だが、人形職人のオーガストのあまりにも献身的な愛によって、彼女は魂のひとかけら(オーガストが作った人形の頭部)の状態のまま、その命を今もなんとか紡いでいる。

 第1章ならび第2章においては、相当の悪女ぶりであったが、神人の船にいる今の彼女はちょっと大人しい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る