第12話 白溶裔
俺はいつものように学校からバイト先の『ツバサ』へと向かっている所だった。
今日は学校で上級生六人に因縁をつけられ一方的に喧嘩を売られたので、今現在少々虫の居所が悪い。
「チッ、糞が。いくら俺がはみだし者だとしてもジュース買うだけで喧嘩売られるとか少し酷くないか?」
昼休みの時の話だ。この日は、
そういう訳なので中庭かどこか適当なところで昼飯を済ませようとカバンを持って教室を出る。
ついでなので、自動販売機で何かジュースでも買っておこうと思い立ち、近くの自動販売機まで足を運ぶ。
「うーん、まあ、これでいいか」
特に何を飲むか決めてはいなかったので、目についたコーラを買うことにする。後ろにげらげらと笑いが聞こえてきたのでチラリと目を向けると二年生達が並んだっぽい。気にせず小銭を入れてボタンを押す。ガシャンと缶ジュースが落ちてきて、それを取ろうとしたところ、首後ろを引っ張られた。
「ぐぇ」
「よお、大助クーン! なーに無視しちゃってるのかなー? 君もはみだし者なら上下社会ちゃんとしないとダメだよねーぇ!!」
掴んできたのは紙を金髪に染めて、ワックスか何かで立たせている先輩だった。先輩はそのまま手を俺の肩へと回す。妙になれなれしいぞコイツ。
「どちら様でしょうか、
「
「俺は知りませんって、放してください」
なんてやっていると別の先輩(茶髪)が自動販売機の缶コーラを取っている。
「お前これ最後のコーラじゃん、俺も飲みたかったからもらうからな」
「いやお前後輩からたかるなんてサイテーだな」
仲間の先輩(染めなし)が茶髪の先輩からコーラを取る。まともなやつもいるもんだと感心した次の瞬間、そいつは缶を思いっきり振りはじめた。
「ぶははは! お前こそサイテーだわははははは!」
「それはウケる、クハハハハ!」
取られた茶髪も、肩を組んでる金髪も爆笑してた。
「ほーら、戦場、お前の飲みたかったコーラだ」
そして開け口を俺に向けてプルタブを開けた。勢いよく飛び出すコーラ。俺は横にと力を加える。
「ぐわっ、オメ、やめろ!」
そうすると肩を組んでいた金髪先輩に標準がズレる訳で。
「いいぜ、お前ら喧嘩売ってるならそう言えよ、三対一でやってやろうじゃねえか!」
コーラかけられて爆発寸前の金髪先輩、ニヤリと笑っている茶髪と染めなしは息を合わせたように飛びかかってきた。
ということがあったわけだ、もちろんその後は返り討ちにしてやったのだが、風紀委員(というなの武装勢力)が集まってきたので一目散に逃げた。別に勝てないわけではないのだが、騒ぎを起こしたのは俺の方なのでなんとも手を出しづらい。そういう訳で
話がずれた、とにかくそう言ったことがあったので、今現在俺はむしゃくしゃしている。
ふと夕焼け間際の空を見上げると、何か浮遊している物体を発見する。白っぽくて、細長い何か。
「つーか、あれ妖怪じゃね?」
妖怪なら当り散らしても誰かに
「てか、なんか臭い。牛乳を拭いたぞうきんをそのまま放置したような臭いがするぞ」
実際に嗅いだことはないが、そんな感じの臭いだ。もしかしてアレが発しているのかもしれない。
白くて細長い妖怪は、俺に気付くことなくそのまま空を飛んで行ってしまった。
「帰ったら小守に聞いてみるか」
「それは
自宅に帰り、早速小守に聞いてみる。
「しろうねり?」
「そう、付喪神の一種とも考えられている。そうだな、今で言う雑巾の妖怪だ。異臭を放ってそんな容姿をしてるなら
「放置してて大丈夫なのか?」
「さあな、人を襲ったりなんだったりとは聞いたことはないが、その臭いのせいで人から好まれる妖怪ではないな」
「なるほど、なら気が進まないが倒さないといけないな」
「空飛ぶ相手にどう闘うのだ」
半眼で言い返される。それもそうか。
「ま、有害といえど
小守はゲームに戻る。
あれ、コイツもう完全にニートみたいだな。最近のコイツをみて俺はふとそう思うのだった。
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